CABIN 2013

『第2回 日本海遠征』
〜 ケビン集合2013 〜
突行日 2013年 9月 15日




 ■ 1日目 −海・突行−


まだ日も上がらぬ4時30分、広島市内の自宅にてヌルハチ君の車に乗り込み、約束の地である島根県某所へと車を走らせる。今回はサイモンさんが不参加であるため、久しぶりにヌルハチ君と二人っきりの長時間ドライブとなった。道中の会話の中心にあるのはもちろん、第5回KING OF CABIN(以下・KOC)についての舌戦と情報収集。連覇を狙う現王者の揺るぎない自信と、今回は秘策を用意し、万全の状態で向かうMr.ブービーの意気込み。それらが無意味にぶつかり合い、そして不自然に煽て合う3時間。出発早々から雨が降り出したものの、ブルジョアでバブリーなヌルハチ君がマイカーを新調したため、道中の移動は快適そのものであった。


前年度王者のヌルハチさん、登場! ケビンノート、授与式


8時集合の予定が、7時過ぎには現地到着。海を見たり、久しぶりに使う二又手銛の錆びを落としたりして時間を費やし、ケビナー達の到着を待つことに。


1時間近くも待ちぼうけ・・・。 入念にヤス先のお手入れをし、その時を待つ。


午前8時前、今回の参加ケビナー5名が揃った。夜の宴会(KOC)についての牽制を含めた刺々しい挨拶を交わしつつも、作って出た言葉の裏側にはやはりこの日の再会を待ち焦がれていたという喜びが見え隠れしている。いくら『KOC』という言葉だけが一人歩きしつつある現状においても、それは所詮ケビン集合の一余興に過ぎない。年に一度、我々はこうしてこの地に集い、共に潜り、夜は一風変わった宴を開くのだ。まずこの再会に幸せを感じなければ、ケビン集合というものを心から楽しむことは出来るはずもない。


全員集合の図。みんな眠そう。 KOCの情報収集をするケビナー達。



■1本目 ポイントBW

雨は降ったり止んだりの微妙な空模様。現在の海況はベタ凪であるが、台風の影響からか若干風も出ており、潮当たりの良い外海で潜れるのは時間の問題のように思えた。(気象庁の発表によれば、この日の波の高さは0.5m→3.0mとのこと。)


時間の経過と共に、状況は厳しくなる。 1本目の海に向け、準備に余念のないケビナー達。


まずは1本目。潮当たりの良い沖磯もあれば雰囲気の良い根や瀬も多く存在する、実績の高い外海での突行となった。ポイント全体的に潮の流れは速そうだが、沖合いには規模の大きなナブラが頻繁に現れ、否が応でもこの海のポテンシャルの高さ窺い知ることができる。制限時間は2時間30分。ここに5人で潜れば、目を引くような大物が上がっても何ら不思議ではないだろう。

そんな非常にアツい海域ではあるが、この日の自分のメインターゲットは魅惑の肝魚・ハコフグである。昨年のケビン集合では中途半端な気持ちで潜った結果、最後の最後までタカノハダイを獲ることが出来ず、本当に辛い思いをしてしまった。その教訓から今回は二又ヤス(1.8m)を使用し、まずは全力でKOCの食材確保(ハコフグ獲り)に専念しようと思った次第。海のポテンシャルの高さから、万一に備えてチョッキ銛も一緒に海に持って入ったが、あくまで最優先ターゲットはハコフグである。これまでの苦い経験に加え、今回のレシピの考案と家庭での調理実習に費やした時間と労力を、この数時間の半端な行動(突果)で不意にするわけにはいかないからね。

そんなわけで、1本目はハコフグ漁についてのお話。

天候・海況ともに不安を抱えながらも磯際には釣り人が目立ったため、それらの邪魔にならぬよう潜行エリアとエントリーポイントを厳選し、9時30分に1本目の突行を開始した。

まずはエントリー直後からフィンを蹴り、100mほど沖合いに浮かぶ小さな沖磯を目指す。気になる透明度は平均して7〜8m程度。メバルやグレなどの魚影は濃いが、イシダイやキジハタなど普段の捕獲対象魚にいたっては、サイズ的に捕獲基準を満たすような個体は1匹も確認できない。ファーストダイブで中層から周囲の様子を探っている際に、海底付近(水深16〜17m)を這うように泳ぐ80cm級のヒラマサを確認したが、さすがに準備不足で手も足も出せなかった。ちなみにこの1本目の突行で最も目に付いた魚はタカノハダイ。魚影も濃く、無駄に太り、その上ほとんど動かない。去年はこの臭い残念魚を心の底から欲していたが、今年はウンザリするほどの魚影。まったく皮肉なものである。

さて、肝心のハコフグはと言うと、これがまた思ったほど簡単に確認することが出来ず、少々苦しい展開に・・・。もともとこのポイントではあまり見かけた記憶が無い魚だが、今日はいつも以上に潮の流れが速かったため、ここから先の時間はハコフグのような泳ぎ下手な魚が休めそうな岩陰をくまなく探して周ることにした。

開始から30分後にこの日初めて確認できた個体は若干小さめだったが、KOCが控えている以上、『まずはキープ、迷ったらキープ』が鉄則であるため、ヤス先を頭部に向けて真正面からロックオン。「お、ま、マジでオレを突くのか(汗)!?」的な顔をしてゆっくりと後退りをするハコフグに対し、方向転換のタイミングに合わせ、横顔目掛けてヤスを放った!・・・が、二又のヤス先は思い通りのポイントにヒットしたものの、上手く刺さらず痛恨のミステイク。横顔を強くぶたれたハコフグは瞬間的に脳震盪になったかのような動きを見せたが、すぐに小さい鰭を一生懸命バタつかせ、慌てふためきながら視界の外へと消えて行った。

気を取り直して2匹目のハコフグ。今度は無事に獲れた話。

同じ根の隣の岩陰で、先程よりも一回り大きなサイズのハコフグに出会った。水深は7m程度。とにかく今日のハコフグ漁に関しては、料理の都合上、体(箱の部分)を絶対に傷付けてはいけないという条件付きなので、「的を大きく構えて確実にゲット♪」というようなラフな獲り方は出来ない。そのため、普段は見付ければ“ほぼ獲れたも同然”のハコフグであるが、撃つ瞬間には「本当にここで良いのか?今ここで手を放して大丈夫なのか?」と、何度も自分に問いかけながら、慎重にヤスを放った。当たったのは二又のうちの1本。それも小さな鰓から入り、口から抜けるという“これ以上無い”ミラクルショット。喜びを噛み締めながら海面へと浮上し、両手でヤス先から慎重に取り外してストリンガーへ。魚を獲って思わずニヤついてしまうのはいつ以来だろうか。そんな気色悪い笑顔のまま周囲を見渡すと、ホリエモン君がこちらをみながら不敵な笑みを浮かべていた。いやん、お恥ずかしい。。。

残り時間は、1時間30分。とりあえずこれでKOCにエントリーする資格は得たが、肉量的には同サイズをもう1匹追加させたいところ。

※この調子でハコフグの話をこれ以上続けても良いが、書く方も読む方も面白くないので、ここから先の出来事は大雑把に書き記す。

・少し根を移動して・・・とある岩下。25cm級のハコフグ。またしても刺さらず、無念。
・浅場に戻って・・・とある岩下。10cm級だったためスルー。
・同じく浅場の岩陰。こちらも小さ過ぎてスルー。

以上、纏めるとこんな感じ。いつもなら全く気にも掛けない魚だが「ハコフグハコフグ…」と殺気立っていると、こんなにも出会えないものなのだろうか。エントリーポイント付近を見ればすでに他のケビナーはエキジットを終えている様子だったため、この辺りで見切りを付け、終了時間15分前にエキジットとした。

このポテンシャルの高い海に対し、それなりのスキルを持ったスピアマン達。やはりみんなそれなりの魚を獲って確実にKOCの切符を手にしたのか・・・と思えば、それがそうでもない。ホリエモン君などはイシダイ、キジハタ、ヒラマサとそれなりの魚を獲ってきてはいるが、らくだ君は・・・ん?マジか?そいつはまさか?と言った感じ。ジュゴンさんにいたってはもはや「委員長、正気ですか?」と突っ込みたくなるような驚きの海産物を手にしている。

で、オレはハコフグ1匹。

2匹目のハコフグも箱は無傷でゲット♪

「なかなかハコフグが見当たらなくて・・・。」とボヤくオレに対し、ジュゴンさんが一言。

「すぐそこの磯際の暗いところに何匹か居たよ?」と。

「むむ!?それは聞き捨てなりませんねぇ。。。」

時計を見れば、まだ制限時間は9分残っている。すぐにマスクを被り、フィンを履いて2回目の緊急エントリー。本日2匹目のハコフグを追加するのに、3分と掛からなかった。

これにて無事、食材調達のノルマ達成!あとは時間内に料理を作るのみじゃ!

ありがとう、ジュゴン委員長!


ヌルハチくんは良型のキジハタ!

らくちゃんはキジハタと・・・、タ、タカッパ!!!

ホリちゃんは日本海の幸、三種盛。

オレは無事にハコフグ・・・。「コラ、よだれ垂らすんじゃねぇ!」

ジュゴン兄さんが乳首に付けているのは・・・

磯もの!?ニナ!?マジですかい!?

今年からはちゃんと計測します。



1本目の総突果。KOCありきだね。




全員揃って、食材調達に成功じゃい!!!



■2本目 ポイント・BD2

時間の経過と共に悪くなる海況。沖合いには白波が立ち、かなり濁った潮も入り始めたため、場所を風裏の内湾に移して2本目の突行を行うことにした。

まずはKOCのために潜り、食材調達を終えた2本目以降にストレスフリーな魚突きを楽しもうというのが我々の共通な認識であるが、早朝3時に家を出てから運転しっ放しのヌルハチ君は、2本目の突行を断念してお昼寝タイムに突入。

というわけで、残りの4人で2本目のエントリーを開始した。

まずは潮の流れに逆らいながら泳ぎ、左側の沖磯を目指す。完全な風裏(ベタ凪)に加え、釣り人が居ないという非常にナイスな展開のように思えたが、いつもは根魚や青物の魚影が期待できるこのポイントもこの日は潮の流れがかなり速く、魚突きには不向きなコンディションとなっていた。透明度もそれほど高くない上に起伏に乏しいポイントであるため、ここまでの流れがあると潜行の目星の付けようがない。とくに沖合いの瀬周りなどはまるで川のような流れ。ロングフィンをしっかりと蹴り続けてようやく平衡が保たれる程度。そこから潜ろうとすれば・・・いや、もう全く息が持たねぇ。

しばらく川のような瀬の周りで粘ってみたが、魚突きが満足に出来る状況には遠く及ばず。そのうえ魚影も普段よりかなり薄く感じられ、これから失う体力と予想突果を天秤に掛けてみると、夜のためにも早めのエキジットが得策であるとの結論に至る。残り時間は1時間少々。ハコフグが2匹居る以上、体力を削ってまで無理に魚を追う必要は無い。ここからは潮に逆らって泳ぐのを止め、エキジットポイントまでは流れに身を任せ、空潜りをしながら戻ることにした。

海面から海底環境がほとんど見えないため、適当に潜っては浮上し、息が整えばまた潜る・・・の繰り返し。しばらくは無駄な空潜りが続いたが、流され始めて15分が経過した頃、ようやく最初のチャンスが訪れる。

水深18mのほぼフラットな海底。高さ50cm程度の岩が散在する程度で、格別目を引くような環境ではないが、着底の数秒前に2匹のイシダイ(60cm級、40cm弱)が目に留まった。2匹のイシダイはすでにこちらに気付いている様子だが、それほど警戒している素振りも無い。もちろんここで狙うは、大きい方のイシダイのみ。

着底と同時に海底に這いつくばり、ゴムを引いてヤスを構える。距離はある程度あったが、潜行直後ということで息止め時間にも随分余裕があったため、まずは軽めのゴリ寄せで様子を伺ってみた。


ゴリゴリ・・・。   ゴリゴリ・・・。。。


まずまず美味そうな個体でした。

雰囲気的に獲れそうなパターンだと思っていたが、どういうわけか反応が悪い。スレているというより、焦らされているような感覚。ならばと視線を逸らし、興味の無い素振りでしばらく横を向いてみたら・・・あらら、いつの間にやら射程圏内へ。

距離が若干遠めだったために少々不細工な所を突いてしまったが、チョッキもしっかり効いているため、強引に引っ張りながら海面へと向かった。60cmあると思った個体は、後の採寸の結果57cm。この時期にしては身が張っていてなかなか美味しそうな個体ではあったが、とくに何の感慨に耽ることもなくストリンガーへと通した。いつもならこの魚をどうやって食べてやろうとか、誰に食べてもらおうかと考えるものだが、さすがにこの日ばかりはそんな事を考える余裕もなく、潮の流れに乗ってエキジット。

オレの頭の中はもう、ハコフグとKOCのことでいっぱいだった。


らくちゃんはキジハタを追加。

ジュゴンさんはキジハタと・・・ニナを追加中。。。

頭の上に載せて写真撮るのって、流行らねーかな?



二本目の総突果



さぁこれにて初日の突行は無事終了!いざ、聖地へ!