CABIN 2010

『第5回 日本海遠征』
〜 ケビン集合2010 〜
突行日 2010年 9月 12日




■ 1日目 −海・突行−

さぁ、いざ出発!
 天気予報による天候&海況はかなりのバッドコンディション。魚突きも満足に出来ない可能性が高いが、ケビン集合において海のコンディションはそれほど大きな意味を成さない。潜りたいポイントが時化で潜れなければ、魚影が薄くても風裏の潜れるポイントで潜れば良いだけの話。さすがにKOCの食材確保はハードルが一気に高くなるが、それは全員が同じ条件である。
 ・・・というわけで、いつもなら絶対に行かないであろう悪条件の日本海を目指し、朝5時過ぎにサイモンさんと広島市内を出発。隣町でヌルハチ君と合流し、一路日本海へと車を走らせる。道中の車内ではKOCの話題や人生相談などで盛り上がり、いつもながらあっという間の3時間。今思えばサイモンさんとの突行で筋トレの話が一切出なかったのは意外だったかな。・・・と、同時にヌルハチ君との突行で変態話が出なかったのもまた意外だった。

潜れる海を求め、道に迷うらくだ号
 朝9時に日本海某所でラクダ君と合流し、早速最寄のポイントへと足を運んでみたが、時化のためにここでの突行は断念。しばらく話し合った後に車を走らせ、何箇所か風裏となる目ぼしいポイントを回って見るも、海が荒れていたり濁りが酷かったりで突行することが出来ず。こういった状況はもちろん想定の範囲内ではあったが、初日の突行ではKOCの食材確保が何よりも最優先事項となる。時間を削ってポイントを探すか、ポイントの質を下げて時間を掛けるか・・・。結局双方を妥協する形でエントリーを決意したのは11時を過ぎたところ。


□1本目 ポイントSS

 完全な風裏で、エントリーポイントはベタ凪。沖に出れば多少波は高くなるものの、魚突きをする上ではほとんど支障が無さそうに思える。

 11時30分、エントリーを開始。

 突行エリアが非常に狭いため、約1時間という突行時間の設定。まず驚かされたのはその透明度。軽く10m以上は見えており、嫌な白濁感も全く無い。今日のような状況で、これだけの透明度を体験できると思っていなかったため、モチベーションは◎◎急上昇!!

 しかし、上がりきったテンションとは裏腹に、魚影の方は大きく期待を下回っていた。 

 流れの良い漁礁のようなポイント、今にも大型のイシダイが顔を出しそうな根回り、ハタ科の魚が好みそうな岩陰・・・。どこを見渡しても捕獲対象魚のシルエットは皆無だった。KOCの食材確保のためには50cmクラスのイシダイが欲しかったが、確認できたイシダイの最大サイズは35cm程度。いくら寄せても縞々のはっきりしたサンバサイズしか姿を現さず、青い綺麗な海の中で時間の経過と共に焦燥感だけが増していく。しかもこのポイント、エントリーしてすぐの湾内だというのに、ボトムがかなり深く、攻略するうえではなかなか骨が折れるポイントだった。深いエリアのボトムの水深までは確認してないが、25m?30m?くらいはあっただろうか?さすがに毎回毎回ボトムまで潜る気力も体力も無いため、15mラインを水平移動し、雰囲気の良さそうな根があれば20m付近へ着底。そこからさらに下方は目視で覗うという省エネ突行を繰り返す。

 最初のチャンスが来たのは開始から30分が過ぎた頃。

 このエリアでは比較的浅場に位置する水深17m前後の大きな岩の上に着底し、目の前をチョロ付く小型のイシダイ達を横目に軽くゴリ寄せをしながらしばらく辺りの様子を伺っていると、水深20mラインのボトム付近の岩陰でホバリングする1匹のキジハタを確認する。サイズは確実に40cmオーバーのキープサイズ。いや、今日のこの条件下ではキープサイズどころかかなりのグッジョブサイズだ。
 すでにゴリ寄せにかなりの息止め時間を費やしていたため、一旦浮上を選択しようとも考えたが、その時は何故か「もう一回潜る方が面倒臭くね?」との思考が勝り、そのままヤスゴムを引きながらマイナス浮力で海底へ・・・。着底と同時にゆっくりとしたフィンワークで射程圏内に入り、ヤスを構えてロックオン完了。そのままキジハタと睨めっこタイムへ突入する。

 5秒・・・、10秒・・・、15秒・・・。

 んぅ〜。

良型キジハタ、ゲットです♪
 チョッキの先はキジハタのオデコにくっ付きそうな距離に位置しているが、このキジハタが非常に根性のある個体で、なかなか横を向いてくれない。正面から強引に撃ち込もうとも考えたが、今回は確実性を重視したい局面なので無理はせず。結局キジハタに警戒されないように少し後退りして距離を取り、少しずつヤスの角度を変え、体位をずらし、キジハタの側頭部が狙えるタイミングでヤスを撃ち込んだ!
 右の頬から鋭く入ったチョッキは、頭の中で止まるもキルショットとなり、難無く回収完了。「これで今日の最大にして最低限のノルマは果たせた・・・」と、何とも言えない開放感と達成感を感じながら、海面へと向かうことに・・・。

1本目の総突果
 結局ここでは最初のチャンスが最後のチャンスでもあったようである。
 その後に見れた魚はスズキ・50cm前後、クエ・40cm前後、イシダイはMAXで30cm強で、ヤスゴムを引くことも無く時間切れでエキジット。

 ちなみにここでの突果はらくだ君がイシダイ×1匹、サイモンさんがキジハタ×1匹。珍しく最後まで粘って上がって来なかったヌルハチ君はボウズでエキジット。彼らのスキルを持ってして、この貧果である・・・。いかにこのポイントでの食材確保が困難なものだったか解るだろう。そして普段なら絶対にドスルーするはずのサイモンさん&らくだ君両氏のイシダイ&キジハタのサイズから、KOCエントリーのプレッシャーの凄さが伝わってくるのではないでしょうか。


□ 2本目 ポイント DK(DeepKiss)

 1本目の突行を所要のためにキャンセルしたジュゴンさんと合流し、時間的にもこの日最後の突行ポイントを目指すことに。現時点でKOCにエントリーするための食材が確保されていないジュゴンさん、ヌルハチ君、そして魚のサイズ的に肉量に若干の不安が残るサイモンさん。彼らはこの2本目をプレッシャーの中で潜らなければならないという大きなハンデを背負っている。

 ちなみにこれまでは通称『ヌルダス』という非常に不安定で精度の低いヌルハチ氏の天候・海況予想に基づいて行動していたが、ここから先は現地を知り尽くした男・ジュゴンさんによるエスコートで最良の策が得られるという大きな安心感が加わった。

 14時30分、この日最後の海へエントリー。

 ここも1本目同様、オレにとっては初めて潜る新ポイント。ジュゴンさんから丁寧なポイントレクチャーを受け、高まる期待と共に突行を開始したが、期待と同時に波も高まり、満足な突行はできず。それでも大物との遭遇を夢見て沖へ沖へと泳ぎ出てみたが、最初の沖磯まで出た辺りからすでに波酔いの前兆が・・・。「病は気から!オレは全然大丈ブイ♪」と念じ続けながら潜行と浮上を繰り返してみるも、殺伐とした景色の中に捕獲対象魚の姿を感じ取ることは出来ず、見れた魚は弁当箱くらいのカンパチ2匹とトウモロコシくらいのスズキが1匹。イシダイは最大で30センチ程度。薄すぎる魚影を目の当たりにし、モチベーションの急激な低下と共についに波酔いも本格化。この海の中、夜の体力を削ってまで漁を行う価値は無いと判断し、1時間も経たないうちにエキジットを決意。

ヌルの富士、土俵入り
 エキジットポイントからほんの数m離れた堤防の陰にて、(絵にならないビジュアルの)若いアベックが身体を寄り添い、激しく接吻を交わしていた。ここではヌルハチ⇒み〜ちん⇒らくだ⇒ジュゴン⇒サイモンの順番でエキジットしたが、最初に上がったヌルハチ君から最後に上がったサイモンさんまでの約1時間、誰が上がった時でも気にすることなくベロベロと接吻し続けていた。オレ達の存在に気付いていないわけではない。ただ、露出スイッチがONになっていただけのことだろう。まるで獣のような若過ぎる男女の熱い抱擁。あぁ青春は素晴らしい。だが最初にも書いたように、あまりにも絵にならない二人の激し過ぎる接吻は、見ていて正直気分が悪かった。高波に揉まれて波酔いしてる方がまだマシだったぜ。

2本目の総突果
 結局ここでの突果はジュゴンさんとヌルハチ君がイシダイを1匹ずつ捕獲したのみ。この魚影からすれば間違いなくMAXサイズのイシダイを突いて来たといえるが、肉量的には滑り込みセーフといったところか。ちなみにサイモンさんはキジハタを追加できず、肉量的にも不安が残るエキジットとなった様子。今年のKING OF CABINは海況不良のため、食材確保のハードルが去年より格段に高かった。しつこいようだが、KOCでエントリーできる食材は当日の自分の突果のみである。他のケビナーがサイズ(肉量)的に料理の失敗が許されなくなった分、運良く良型のキジハタを確保できたオレは、KINGのベルト奪取に向けて頭一つ抜け出ていると言っても過言ではないだろう。

 さて、ここからは場所を聖地・ケビンへと移し、夜の談合へ。

 最高の夜。そして、最狂の夜を求めて・・・。

 例年どおり、画像メインで状況をレポりたいと思います。