釣行記


『深海魚現る・・・。』

突行日 2004.8.15


前回突行のリベンジを胸に、やってきました日本海。しかし前日の雨に加え、早朝から吹き続けた強風の影響によりコンディションは最悪に近い。島根へ行けば必ず潜るお気に入りのポイントは、陸から見ただけで潜れないと判断し、最近魚影の熱いマハタ目撃ポイントへと向かった。

7時30分にポイント到着。陸からは一見凪っているように見えたが、海の中はウネリがかなりキツかった!大きく揺れる海藻と小魚達。波はそれほど高くないものの、海面に浮いていると直ぐに気分が悪くなる。結局マハタを目撃したポイントに行き着く前にノックアウトされ、岩に上がって1時間ほど爆睡。しかし海況・体調共に希望の兆しが見えず、10時には早々と着替えを済ませ、逃げるようにポイントを後にしてました。

「盆に殺生するな!って仏様からのお告げだよ。」

そう自分に言い聞かせながら広島への帰路へつく。せっかく来た日本海だが、海況が悪くては仕方が無い。今回は突行記も短くて済む(笑)。しかしこのまま帰るのはもちろん悔しい。ふと車の中から未練がましく海を眺めると、東へ移動するに従い徐々に海況が安定していることに気が付く。ならばとそのまま東へ車を走らせること30分。とある海水浴場の少し沖へ出た所に、面白そうなポイントを発見!車を停めて海を確認・・・。「あそこなら快適に潜れるかも?」濡れたウエットスーツを強引に着直して再び潜闘モードに。そして海水浴客の横から一人、手銛を片手にエントリーを開始する。

入水直後は3mほどしか見えなかった透明度も、5分ほど泳いで沖へ出ると7m前後は見えるようになり、視界には綺麗な砂地が広がった。ヒラメやマゴチがいないかなぁ〜と、海面より目を凝らしてみる。数分後、海底に出来た明らかに不自然な窪みの中でわずかに何かが動いたのを確認。とりあえずゴムを引かずにヤスで小突いてみると、砂の中から35cmのシタビラメが元気良く飛び出した!とくに逃げる素振りも無かったので、素直に近付き思いっ切り突き直したが、身が柔らかくて薄いため直ぐに身切れし、今度はグルグル回転しながら砂の中に潜り込んだ。完全に姿を消したが、海底を良く見るとシタビラメの傷口から流れ出る血液が、砂の中から煙のように上がり、その居場所を知らせてくれる。今度はゴムを使わずに優しく一突き。手応えあり!砂の中から掘り出し、初シタビラメゲットです♪

その後はゴロ石混じりの海底へと移動。20cmちょっとのキジハタを多数目撃したが、大きいのは見当たらず。30cmほどのサンバソウとキジハタを捕獲して目的の磯場に到着した。

アンドンクラゲの大群に怯えながらも、良型のイシダイを寄せと、穴撃ちで1匹ずつ追加。40cmクラスのキジハタは射程に入れながらも体勢が悪く躊躇してしまい、ヤスが撃てず・・・。そしてすぐ隣にある大きな落ち込み(窪み)を覗いた時に思わず息を呑んだ・・・。

「おぉ〜っ、クエだ!!」

サイズは60cm前後。おそらくこちらには気付いていないが、海底より2〜3m上層でホバリングしているため、ヤツに気付かれず射程圏内へ寄っていくのは厳しそう。岩陰から顔だけ出し、しばらくクエの動きを観察してみるが、一向に攻めの糸口を見つけることが出来ない。一旦浮上し、息を整えて再潜行。同じように顔だけ出してヤツを観察・・・。すると今度はこちらを向いているではないか(汗)!気付かれたか!?さぁどうすればいい!?岩穴に追い込むべきか!?寄せるべきか!?真正面から挑むべきか!?ん〜っ、分からん!!!

結局2回目の潜行でも何もする事ができず、様子を見ただけ・・・。情けねぇ〜。これでダメなら強行突破しようと決めてかかった3回目の潜行時にはすでに愛想をつかされ視界から消えた後でした・・・。前回のマハタといい、先程のキジハタ、今回のクエ・・・。守りに入ってばかりで思いきりの良さが全く無い。逃げられた事よりも『攻めの魚突き』を選択できなかった自分に悔しさが残る。でも初めて見たクエはすげぇ〜カッコ良かった!風格も貫禄もあって、一目で虜にさせられる。いや〜、良い目標が出来た!いつの日か必ず捕獲してみせます!必ず!!

時計は14時。海水浴場に上陸したオレは、昼飯休憩。少し休んだ後に、もう一度クエを見たポイント周辺を徹底捜索することに!

それから約30分後・・・。海に入ったのは良いが、胃の中に残った昼飯が気になる。クエポイントにはベストな状態で臨みたいということで、海面から砂地の海底がハッキリと見えるポイントにて、リラックスしながら底物探し。ヒラメ、マゴチ、カレイ・・・。いつも思うが砂地の魚の探し方が全く分からない!そんなこんなで10分くらい海面を漂っていただろうか。海底にて30cmは超えてそうな大きなキスを発見。ちょいと遊んでやろうと追いかけたが、一目散に逃げるキス。そのキスの後ろ姿を目で追うと、数m先の海底から海面に向かって銀色に輝く1本の柱が立っていた!

なんだ!?タチウオか?

ゆっくりと近付いくと・・・

えっ・・・??サ、サケガシラ??何でキミがこんな所に?

山形大学・アクアライフのガイくんが獲った個体を『MOGULER'S DELIGHT』で拝見させていただいたため、おそらくサケガシラだろうということは瞬時に判かった。なんたってインパクトありましたからね。で、この状況下にオレが考えるべき問題はただ一つ。こいつが食えるかどうか?だ。おそらくタチウオがちょっと大きくなっただけだろう。「太刀魚のように調理すれば万事OK♪」そう楽観視して首根っこを一突き。ところがキルショットではないのに生命反応がやたら低い!まるで地球人にやられて惑星フリーザに退散した時のべジータのようだ。ウツボやタチウオのようにガンガン手銛に絡み付いてくるのかと構えていたのに、てんで大人しいのがちょっと拍子抜け。

しかし突いた後になって問題が続出。この魚、このままテイクアウトは可能なのか??とりあえずコイツを持っての魚突きは邪魔で邪魔でしょうがないでしょ?海に入って間もないが、魚を置きに一旦車まで戻ることに・・・。

真の正念場はここからだった。真夏の太陽を浴びて銀色に光り輝く魚体、いや巨体。そして500円玉よりも大きな目玉。まさに深海魚!加えて上がった所が海水浴場なので人がメチャクチャ集まってきて・・・。これから食おうとする魚を砂地に引きずりながら上がるわけにもいかないでしょ?だから腕を高々と上げて146cmの魚体を持ち上げる。これで集客効果抜群!!子供達は群がり主婦は唖然。携帯で写メを撮られクラクション鳴らされ、ヒソヒソ話され・・・。賛辞も多数いただきましたが、もうどうでもいいやってって感じに開き直ってセルフタイマーで記念写真を撮りましたよ(笑)。

一段落着いて、再びクエポイントへ。申し訳ないほどのカンパチの幼魚を塩焼き用に1匹捕獲したのみで、クエはおろか目ぼしい魚には出会えず・・・。っていうか、その後は全然集中して潜れませんでした(笑)。


「さぁ〜、帰って食うぞ!!サケガシラ!!!」





場所 島根県某所
『本日の突果』
天候 曇りのち晴れ
海況 風弱く波高1m
大潮 満潮 11:45
透明度 5〜7m
潜水時間 8:15〜16:30(3時間休憩)
表面水温 29.4℃
最大水深 10.5m(29.0℃)
ヤス 2又手銛 2.7m 
フィン エスカペッツ
突果 イシダイ 39〜30cm 3匹
シタビラメ 35〜28cm 2匹  
(初突果)
キジハタ 29cm
カサゴ 25cm
カンパチ 29cm   
(初突果)
サケガシラ 146cm  
(初突果)
本日の食卓
【左:キジハタ薄造り】
【中:イシダイの刺身】
【右:シタビラメの煮付け】
どれも素晴らしく美味かったが、今日の一番人気はイシダイの刺身かな。キジハタのアラの塩焼きも最高♪





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