radiography

X線(レントゲン)写真を読むにあたり・・・



透明なフィルムにX線を当てると、その当たった部分だけが黒くなります。普通のカメラのフィルムが現像前に光が当たって黒くなるのと全く同じ原理です。


 みなさんもご存知のように、X線は物質を透過する性質を持っています。ただ、何でも同じように透過できるわけではありません。金属のようにX線を遮断するものもあれば、骨のように少しだけ透す物、プラスチックのようにほとんど透す物、空気(気体)のように完全に透してしまうもの。
 結局最後にフィルムまで行き着いたX線の残量が、写真の濃度になって現れるわけです。


簡単な例を挙げてみます。

フィルムの上に金属の物質(10円玉、50円玉)を置き、全体的にX線を当てるとどんな写真ができると思いますか?

そうです。金属以外の部分はそのままX線が当たるために真っ黒。しかし金属(硬貨)はX線を透さないため、その部分だけフィルムにX線が届かず、黒い写真の中に硬貨の形だけ透明のままの(白い)写真が出来ます。

では次に携帯電話を撮影してみたらどうなるでしょう?

先程のように、金属の部分は白く(透明なまま)、そして少しだけX線をカットするプラスチックの部分は灰色に、X線を完全に透す空気(空洞)の部分は黒く写ります。

これがX線写真(レントゲン写真)のできる原理です。

全てに当てはまるというわけではないですが、基本的には硬いものほどX線を透し難いと思えば解りやすいかもしれませんね。そして同じ物でも厚みが増すほどX線を透しにくくなります。




では最後に魚でおさらいしてみましょう。

まず、魚の無い部分はそのままX線が当たるために色は真っ黒ですね。当たり前のことですが、魚はX線を少し遮っているため、全体的に白っぽく写っています。

魚の中でX線を透しやすい部分は、浮き袋や気道、食道といった空気を含む部分。体の中の明らかに黒い部分がそうです。
次は見難いですが鰭(ヒレ)の薄い幕の部分。良く見ると、やや薄い灰色になっているのが解りますか?ほんの少しだけX線が遮断されたために、色が少しだけ白っぽくなっています。
身の部分はどちらかといえば中間色ですね。体の中心付近で、肉厚な部分ほど白く、周りの部分ほど薄いためX線を透し易く、黒っぽくなっています。
最後は骨や歯。細い骨、薄い骨ほどX線を透過し易く、太い骨ほど透り難いためフィルムまでX線が届きません。
この写真で忘れてはならないのが腸内異物ですね。X線を透し易いはずの軟らかい腸内に、白く硬そうな物質がある事が解ります。おそらく黒鯛の生活形態からして、カキの殻や石ころなどでしょう。
これは写真のできる過程とは関係ありませんが・・・
矢印部分が骨折部位です。これはもちろんヤスによる骨折です。一直線のはずの脊柱が、少しズレて形が変わっています。


こういったX線の透過具合の差により、一枚のレントゲン写真が出来上がります。


もちろん人間にも同じ事がいえます。お腹の中に石があれば白く映り、ガスが溜まれば黒く映る。肺炎や胸水が白く映り、肺気腫や気胸が黒く映るのはこのためです。原理さえ理解すれば、けっこう単純なものですね。





BACK PAGE