突行記 ’07

『第10回 日本海遠征』
〜 キジハタが…デカい! 〜
突行日 2007年 8月 19日

 前日の夜までは単独ツーリングダイブを予定していたが、就寝直前になってヌルハチ君の参戦が決まり、この日は急遽2人で日本海へと繰り出すこととなった。

 −1本目 ポイント・MM−

 まずは3年前に2人で開拓したポイント・MMに。天気は快晴、海はまずまずのコンディション。エントリー直後はウネリによる濁りが気になったが、沖へと泳ぎ出るに連れて少しずつ改善され、透明度も7〜8mとまずまず。とりあえずは実績のある沖磯を目指して泳いだが、気付かぬうちに潮に流され予定とは少し違う沈み根に到着(漂流?)した。

 砂地ベースの海底から聳え立つ直径10m程度の沈み根。ボトムは水深12〜3mで、トップが2m弱。小魚がかなり集まっていたため、少し気になって近付いてみると、根のトップ付近で不審な動きを見せる魚を確認。

 50cmクラスのキジハタだ。

 キジハタは根の壁面に身体を擦り付けるようにクルクルクルクルと何回転も周り続けている。不思議に思いながら1分近くその光景を眺めていると、オレの存在に気付いたキジハタは静かに回るのを止め、恥ずかしそうにゆっくりと根を下って行った。その姿を追いかけるように、潜行を開始…。
 それから僅か数秒後、キジハタは根を降りるのを止め、水深6mほどの根のフラットになった部分に到達するや、近くにあった岩の窪み(亀裂)に頭を突っ込んだ。隠れているつもりかは解らないが、岩陰には頭しか入っておらず、体全体はほぼ丸見えの状態。見ているこちらが恥ずかしくなってしまうほどの典型的な『頭隠して尻隠さず』状態。あまりのキジハタの余裕っぷりに少し戸惑ってしまったが、キジハタが少しバックして頭を岩陰から出してきたため、側頭部目掛けて至近距離からヤスを撃ち込んだ!撃たれたキジハタは今度は勢い良く同じ岩陰(亀裂)の中に突っ込もうとしたが、やはりそのスペースには頭しか入らない様子…。最後まで目測を誤っていたキジハタ53.0cm、難無く捕獲完了。こんなクレイジーなキジハタは初めてだ。

 その後は目的の沖磯周囲へと移動し、小型のブリの群れや、スルーサイズのイシダイを数多く目撃。魚影も濃かったため終始退屈することはなかったが、ヤスゴムを引くような魚には出会えないまま時間だけが経過。本日2匹目のキジハタとの駆け引きがあったのは突行開始から約1時間後のことだった。

【VS キジハタ60cm

 沖磯から他の根への移動中、中層付近を平行移動していると、とある根の壁面にへばり付き上を見上げてホバリングしている1匹のハタ科のシルエットを目撃する。一瞬「クエか?」と思うほど立派な風格を漂わせていたが、あまりに無防備な状態で鉢合わせてしまったため、右図のように一旦気付かなかった振りをして根を遠回りし、再びワカメブラインドの死角を利用して真上から近付くことに。。。実はこの時点でもまだクエかキジハタか定かではなかった。その後、そのままの自然な流れでワカメブラインドを静かに掻き分け、ターゲットの頭部にヤス先を向ける…。ここでようやくキジハタであることに気付いた。

「今度のもデカい!!」

 ロックオンとほぼ同時にキジハタはゆっくりと動き始め、根の壁面を下ろうと身を翻す…。そのタイミングに合わせてヤスを思いっきり撃ち込んだ!

 ドスッ…

『キジハタ60.0p 3.0kg』

 視覚から伝わる重い感触と共に、目の前にはケプラーのラインに宙吊りになって動かないキジハタが…。流石にこのサイズともなれば頭部は思った以上に硬く、至近距離から撃ち込みながらもチョッキは貫通は出来ていなかった。それどころか良く見ればカエシの部分までも刺さっていない状態。結果的には当たり所が良かったのが幸いしたが、弾かれてたら…危なかった…。後の検寸でこのキジハタは60.0cm(3.0kg)であることを確認。…ということは、前回の突行時から60cmクラスを2連発!ん〜、我ながら信じ難いキジハタフィーバーだ。

 その後は直ぐ隣の根で55cmクラスのキジハタを目撃し、余裕の間合いでヤスを撃ち込むも、何故かチョッキのカエシが効かず、一瞬ですっぽ抜け…。それから数回にわたって同一キジハタを目撃したのだが、撃ち所を考えているうちにチャンスを失ってしまい、結局無駄に傷を負わせただけで逃げられるという最悪の結末に…。

 一度バラシたキジハタが、根に入らずに周囲を徘徊するのも珍しい話だが、やはりどんな魚でも2度目のアタックでは「突き所」なんかよりも「確実な捕獲」を優先させるべきだった…と、反省しながら1本目の突行を終えることとなった。


 −2本目 ポイント・AG − 

 前回初めて入ったポイントだが、個人的にはあまり期待のできないローテンションなポイント。理由は前回の突行記にも記したように、海底環境に凹凸が少なく、全体的に浅いから。キジハタ狙いのヌルハチ君の欲求を満たすべく、キジハタくらいは居るだろうということで重い腰を上げてエントリー地点まで向かったが、1本目で一仕事を終えたということもあり、やはり貪欲潜行パワーは湧いて来ず…、ヌルハチ君を先に見送った後、一時間ほど砂浜で日光浴。心身共に温まったところで突行を開始したが、やはりこれといって良い魚には出会えない。イシダイやイシガキダイの良型こそ群れてはいたが、クエやキジハタは見ることすら出来ず(まともに探してないんだけど・笑)。岩場と砂地の境界付近でヒラメ等の底物の姿を探すも全く成果は上がらず。途中で出会ったヌルハチ君が良型キジハタとマイクロキジハタを1匹ずつ獲っていた上、50cmクラスのクエにも出会ったと言っていたが、「今日はもういいや!」ってな感じで早々とエキジット。

 帰りは寄り道しながらカキ氷食べて、モスバーガー食べて…。シュノーケリングをしているビキニギャル(?)を上からボーッと眺めたり…(笑)。日本海まで遠征しながら、非常にノンビリとした時間を過ごし、予定通りの時刻に帰宅しました。

 最近はどうも潜行意欲が薄れてきているように思えるね。良い魚を獲った後の2本目なんてホントどうでも良い感じになることも…。良い意味で言えば気持ちに“ゆとり”が出たと言えるのだろうが、これは本来の自分のスタンスじゃない。充実したオフシーズンを過ごすためにも、潜れるうちはもっと貪欲に海と接していかないと…。

 我先にと急いで海へ向かい、アホみたいにウマヅラを突きまくっていたあの頃が懐かしいね。


場所 日本海某所
−突果写真−
天候 晴れ
海況 風速2m 波1.0m
干潮 満潮 9:30
透明度 8m前後→10m
潜水時間 9:00〜14:00
最大水深 15.7m(28.2℃)
ヤス 3.2mチョッキ銛
フィン エスカペ
突果 キジハタ 60.0cm 53.0cm




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