釣行記

『銀ワサ』

突行日 2005.11.27


 今季20回目の島根遠征。そろそろ日本海もオフシーズンか?と言いながら、ついに11月も終わりにきてしまった。海は慢性的に荒れ始め、水温の低下とともに魚影の方も薄れ気味。それでもまだこれだけの魚に会える日本海。瀬戸内に引き篭るのはもう少し先の話でもいいだろう。
 今日の合同突行者はヌルハチ君。当初は山口遠征を行う予定だったが、遠征予定地が激濁り(透明度2m)で魚突きにならないため、急遽島根遠征の運びとなった。

■ 1本目(ポイント・OH)

 最初に到着したのはタカッパランド。しかし海は異常なほどに白波立った大時化の状態。想定外の展開だったが、自然が相手では成す術も無い。仕方なく車を走らせポイント・OHへ。今日はOHが風裏になったため、比較的海況は穏やかだった。さすがに沖では白波がガンガン立っていたが、この天候下では四の五の言っていられない。準備も早々に海へと向かった。

 透明度は良い所で10m前後。今年経験した中で最も高い透明度だったように思えた。これだけ見えるとさすがに魚影も濃く感じる。そして何より気分が良い。一日を通して小アジの群れはほとんど回っていなかったが、イワシの仲間?のような小魚の群れが局所的に海面を覆い、それらが常に回遊魚の回りを期待させてくれた。

 最初にヤスを構えたのは開始から約10分後。湾内に沈む根と根の間を通り抜ける2匹のイシダイ(50cm&40cm前後)を海面より確認。潜行しながらヤスを構え、着底するなりゴリゴリゴリ・・・。しかし勢い良く引き返してきたのは小さい方の個体だけ。開始早々ということもあり、とりあえずスルーして様子をみることに。

 ところがその後は長い膠着状態に入ってしまう。
 待てども現れない回遊魚に痺れを切らし、30分後に威勢良く沖の瀬に踏み込んでみたものの、波長の大きな高波と薄過ぎる魚影を前にあえなく撃沈。失った体力と気力を取り戻すために風裏のエリアでリハビリ潜行を続けたが、ここで出会った捕獲対象魚はヒラスズキ(50〜60cm×3匹)くらいか。イシダイ・イシガキダイはオール40cm以下。コブダイやタカノハダイばかりが我が物顔で徘徊し、海面に群がる小魚からは緊張感が感じられない。

 1本目の予定終了時刻まで残り30分。ここでようやく魚影の濃い沈み根に行き当たった。
 若干小さな根ではあったが、海底付近にはイシダイ&イシガキダイ(30〜50cmクラス)が10匹近く群れている。根のトップは水深15〜17m、ボトムは20m少々。とりあえず根のトップに張り付き、ゴリ寄せを施行してみた。しかし寄ってくるのはサンバソウばかり。クチグロクラスは射程圏内から程遠い距離をゆらゆらと泳いでいる。何度か空潜りを繰り返してみたが、やはり夏場に比べるとゴリ寄せに対する反応が宜しくない。
 ここで少し気分を変え、隣の根に移動してみることに。その根の中腹には程良く海草が生えており、良い感じに体を隠すことができた。ここで再びゴリ寄せを…と思い、視線を前に向けると…視界に現れたのはなんと80cmオーバーのブリ!!距離にして5〜6m。直ぐにヤスを構え、祈るような気持ちでブリが寄ってくるのを待った。ブリは一直線ではなく、右へ左へとフラフラ泳ぎながら少しずつ近づいて来る。青いシルエットと一直線に走るストライプが徐々にはっきりと見えてきた。

「よし、その調子だ…。」

 潜行直後だったので、息止め時間にはかなり余裕があった。いや、それより大物との一番では息を止めている事すら忘れさせられる何かがある。それでいてオレも心拍数は変わらず、終始冷静に状況を読むことができた。少しずつだが順調に近寄って来るブリ。明らかに警戒心より好奇心が勝っていた。そして数秒後・・・ついに射程圏内・・・!!
 射程圏内にて真横を向くブリ!!頭部or頚部でキルショットを狙うべきか、胴体のド真中に確実に撃ち込むべきか!?僅かな時間で悩んだ結果、安全策の後者を選択!すぐにヤス先をブリのド真中へ向け、フルパワーでヤスを撃ち込んだ!


ドスッ…


 その瞬間、ヤス先は予定通りブリの横っ腹を捕らえていた!!手応えはあったが、貫通はしていない様子。撃たれたブリはほんの一瞬硬直をみせた直後、スイッチが爆走モードへと切り替わる…オレも瞬時にヤスを握り締め、ブリの爆走に耐える体勢に。ところがブリが走り始めた次の瞬間…


ガッ…ガンッ…!!
(←ヤスが軋む音)


…。


 駆け引きを楽しむ間もなく、ブリは青い海の向こうへ…。

 残された押し棒を見て愕然としましたよ。原因は身切れでもライン切れでもなく、ラインが解けていたのです。金属部との磨耗を気にして、押し棒側のラインを本線とは別で2重掛けしていたのですが、それが2本一度に解けていました。結び方は恥ずかしくてここには書けません。失敗して気付かされた不注意です。今までのイシダイやブリでは全く問題無かったのですが、今回はパワーが桁違いでした。“完敗”とかそういうレベルの話ではありません。悔しいやら情けないやら…恥ずかしい限りです。

銀ワサ 57cm!
 海面にてチョッキと押し棒を予備の物と交換し、同じ沈み根に再び入ってみた。根の中腹に身を隠し、回遊魚の存在を気にしながら岩肌を擦り、音を立てる。数秒後、ゴリ寄せに反応したのは隣の根周りで群れていた6〜7匹のイシダイ。ほとんどが40cm前後だったが、1匹だけ確実50オーバーの銀ワサが居た。もちろんここで狙うべきはそのリーダー格の銀ワサのみ。後はオールスルー。妥協はしない。生い茂る海草に身を隠し、ヤスを構えてゴリゴリゴリ…。長期戦を覚悟していたが、群れの中で一番先に射程圏内に入って来たのは他ならぬリーダー格の銀ワサだった。どこまでも素直に寄ってくる。そしていつの間にか至近距離にて睨めっこ。後は横を向くのを待つだけだった。丸々太った銀ワサは胸鰭付近を深々と貫通!57cm、3.4キロの立派な魚体でした。

■ 2本目(ポイント・OH)

 水中カメラとヤスを持って2本目へ。キジハタやカサゴ、コブダイ等の撮影を終え、再び魚突きモードに入ったのはおよそ1時間後。それからはピンポイントで実績のある沈み根付近を捜索して回ったが、これといって良い魚には出会えず。

キジハタ カサゴ コブダイ

 漁場を潮当たりの良い沖の瀬へと移す途中、いつの間にか50匹程度のブリの群れが海面付近でオレを取り囲んだ。サイズはオール50cm前後のヤズクラス。若干小ぶりではあったが、水面撃ちで1匹キープ。ドクドクと溢れ出す赤い煙幕に、1本目でバラしたブリとの違いを感じながらもストリンガーへ。46cm。

 10月には小アジの群れで賑わっていた沖の瀬も、魚影の薄さからか殺伐とした雰囲気を漂わせていた。もう冬は直ぐそこまで来ている。これが今シーズン、最後の日本海遠征になるのかもしれないな・・・。そう思いながら、11月最後の海を後にしました。

■ 本日の総括

 道具に対しする考え方を少し変える必要がありますね。常に最善を尽くさなければ、獲れる魚も逃がしてしまう。自分の不注意からのバラし(厳しく言えば無駄殺し)は極力避けなければ後味が悪い。この手のミスは二度としたくないね。
 それはそうと初の大型銀ワサ、ムチャクチャカッコ良かった!!海況さえ整えばもう少し楽しめそうだが・・・今年はもう無理かもね。



場所 島根県某所
今日の突果
天候 曇り時々晴れ 一時雷雨
海況 風速5m 波2m
―――
透明度 10m→7m
潜水時間 9:15〜14:00
最大水深 16.5m(19.4℃)
ヤス 3.2mチョッキ銛
フィン エスカペ
突果 イシダイ 57cm
ブリ 46cm
本日の食卓
■ イシダイ料理
 脂の乗り方が尋常では無かったです。刺身は包丁を入れるとジョリジョリという音を感じれるくらい歯応えもGOOD!
 アラ煮の頬肉は高級和牛のステーキのように柔らかく、上品かつ濃厚な味わいでした。
刺身 兜煮 皮の塩胡椒炒め





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