釣行記

イシダイとヒラマサ vol.1
-ヒラマサへの挑戦編-

突行日 2005.9.23


 今季13回目の日本海遠征。日本海がオフシーズンに入る11月までに、あと何回遠征できるだろうか?一回一回の遠征を、大切にしていきたいと思う今日この頃です。
 今日の合同突行者ははしけんさん、水君、ヌルハチ君。そして2本目からは現地でrioさん夫妻と合流する予定。

■ 1本目 (雷ポイント)

 岸に打ち寄せる波は高く、エントリーしてから沖にでるまでは結構大変だった。海面は泡だらけで視界が悪く、浅瀬には大きな岩も点在していたため、ちょっぴりデンジャラス。それでも30m程沖へ出ると視界は一気に開け、透明度10m前後の青い世界が広がった。これぞ日本海。さっそく沖合いに沈む根を目指し、波に揺られながら海面移動を続けることに。

 その数分後、久々目にしたショッキングな光景。水深10m前後の海底に、60cm前後のマダイの群れ(7〜8匹)が井戸端会議・・・。「さすがにこれだけ居れば、このうちの1匹は獲れるだろ!?」そう思いながらゴムを引き、潜ろうとした瞬間・・・ブチッ(ゴム切れ)。海面よりマダイの群れが散っていない事を確認し、すばやくゴムをリセット・・・そして・・・ブチッ。さすがに2回目はオレ自身がブチ切れてしまいそうだった。ま、すべては老朽化したヤスゴムを海に持って入ってしまったオレのミスなんだけどね(涙)。結局3度目の正直で潜行した時には、すでにマダイは視界の中に2〜3匹見える程度。ゴリゴリ岩を擦ったり砂煙を上げたりしてみたが、最後までその距離が縮まることは無かった。

 今日は海況が悪かったため、イシダイは40オcmオーバーなら突いてやろうと思っていた。ところが、目に付く個体はほとんどが40cmオーバー。しかも射程圏内にガンガン寄って来る。群れの中には50cmクラスもちらほらと。40cm台ならいつでも獲れると判断し、捕獲基準を50cmオーバーに上げてみることに。開始から1時間以上は寄せとスルーを繰り返し、納得のいくサイズを待っていた。そして自分でも気付かぬうちに、イシダイに対するサイズの感覚がちょっとずつ解からなくなっていった・・・。

 開始から1時間30分が経過。未だヤスは一度も撃っておらず・・・。とある根の中腹に良い感じの待機場所を発見し、そこで何度か寄せを繰り返していた時のことだった。
 数回目の潜行中、ふと視線を横に向けると、見慣れない綺麗な魚体が視界に飛びこんできた。青白いスレンダーボディーに、薄黄色のストライプ・・・ヒラマサだ!!潜行中ではどうすることも出来なかったため、根の中腹に素早く着低し、ヤスゴムを目一杯に引いてヒラマサが射程に入るのを待つ・・・。しかしそれから数秒も経たないうちに、他方向より別のヒラマサがこちらに向かってスルスル〜っと一直線に向かって来た!そして射程圏内に入ったところで横を向く・・・。サイズは60〜70cmクラス。憧れの初回遊魚捕獲に向け、これ以上無いシチュエーション!っていうか「これで突けなきゃ話にならない」くらいの間合い。うぉ〜!やばいよ!良いのか!?マジで突いて良いのか?こんな簡単なもので良いのか?オレにとって魚突き人生最大の壁が、こんなにも呆気なく越えれて良いのものなのか??僅かな時間にいろいろな邪心が脳裏を過ぎる・・・。もちろんテンション的には激しくテンパッていた。冷静になれるわけが無い。それだけオレの中で“回遊魚”という存在は大きいもの。そんな舞い上がるようなテンションで・・・不覚にもヤスを放ってしまった。



ズバッ・・・!!


 おぉ―――♪回遊魚相手に初ヒット!!
 しかし次の瞬間、目を覆いたくなるような映像が・・・。

 ヤスは至近距離から撃ったにも関わらず、ヒラマサの背中付近に辛うじてヒット・・・。「う、嘘だろ・・・(涙)。」バラす前から取り込めない事を確信し、絶望感に満ち溢れていた。数秒後、なんとかチョッキは効いたものの、案の定ヒラマサの突っ走りに耐えることが出来ず、痛恨の身切れ。「お、終った・・・。」その時、何故か頭の中では井上陽水の“少年時代”が流れていた・・・。

 海面にてしばらくの間は放心状態・・・。気を取り直して潜行を開始するも、気になるのはやはり回遊魚の存在。少しの間、同じ場所で潜行を繰り返したのだが、その後は4〜5匹の群れに一度遭遇しただけだった。

 ボウズで上がるわけにはいかないが、テンション的にはほぼドン底の状態。魚に対しては殺気どころか、精気すら感じられなかったのだろうか。ま、それが結果的には良かったのかもしれないが・・・。

 とある沈み岩付近に群がる10匹前後のイシダイの群れ。水深は10mちょっと。岩に掴まり様子を伺ったが・・・ん?全員クチグロ級じゃないですかぁ!?しかも・・・寄って来る!大きめな個体は若干反応が鈍かったが、岩をゴリゴリと擦りながらしばらく待つと、フラフラフラ〜と射程圏内へ。そして次の瞬間・・・



ドスッッ!!


 ヤスは体の一番厚い部分を、深々とシャフトまで貫通!そしてイシダイはセオリー通りに一瞬硬直を見せた。その隙に串刺し状態のイシダイをヤスもろとも両手でガッチリ掴み、両手で抱え込んで緊急浮上!海面にて激しいファイトを見せられたが、動じることなく強引にエラを引き抜き、ドクドクと流れ出る赤い煙幕を確認しながらストリンガーへ。手尺でサイズを確認・・・50後半か・・・。自己記録更新は間違い無いけど・・・ん〜。

自己記録を大幅更新!

 喜べない原因は自分でも解かっていた。あのヒラマサの横顔が脳裏に焼き付いて離れない。イシダイの自己記録更新は嬉しいが、それよりも悔しさの方が遥かに上回っていた。1本目のリミットが迫ってきていたため、一回り小さいイシダイを1匹追加して一先ずエキジットとしました。

 すでに皆はエキジット済みだった。rioさん&mariさんも、1本目を終えて合流済み。それぞれ思い思いの魚を獲っていたが、はしけんさんはマダイ63cmをゲット。ついに我がライバルの突果レパートリーにもマダイが挙がりましたね・・・。そして1本目に別の場所で潜ったrioさんのクーラーボックスには、ヒラマサ、ツムブリ、クエ・・・。この人との距離は縮まらないのか・・・。

 しかしそんなオレにも僅かに明るい光が差し込んだ。検寸の結果、大きい方のイシダイはなんと60cmジャスト!!ついにイシダイ記録も大台に乗った!嬉しくないと言いながらも、この結果には思わずガッツポーズが出てしまった♪(ちなみに小さい方は58.5cm。)

■ 2本目 (ポイント・OH)

 個人的には2本目も雷ポイントにて、ヒラマサへのリベンジを果たしたかったが、当初の予定通り2本目は銛部のホームポイント(OH)へとお邪魔することになった。
 海況の悪さは相変わらず。とりあえず沖へ沖へと泳ぎ、適当な沈み根を見つけて潜行を繰り返した。1時間後、ようやく出会った7〜8匹程度のヒラマサの群れ。根に張り付き、射程圏内に入ってくるのをひたすら待ったが・・・全く寄り付かず。その後しばらくは同じ根で粘ってみたが、何事も無く時間だけが過ぎていった。心機一転、さらに沖へ、そして潮当たりの良いポイントを求めてフィンを漕ぐことに・・・。

 残り時間は30分・・・。もうダメかと諦めかけた時、沖にせり出した瀬の外側にて、かなり雰囲気の良い沈み根を発見。根のボトム周囲(水深15m前後)には50〜55cm前後のイシダイの群れ。そいつらを眼下に、根の中腹にて回遊魚が回るのをひたすら待ってみた・・・。
 小アジの群れは時折顔を見せるが、何かに追われているような緊張感は無い。それでもこの海域にヒラマサが居ることは間違い無い。待っていれば必ず会えるだろう・・・。

 読みはズバリ的中!しかし、今回もスキルがそれに伴っていなかった・・・。

 海面にて波に揺られながら息を整えていると、根のトップ周辺に群れていたスズメダイが一世に大きく動いた!その直後、根と根で出来た谷間を突き抜けるように逃げる小アジの大群を確認・・・。「来るぞ!!」そう感じるや否や、沖の方からヒラマサの大編隊が怒涛の勢いで登場!サイズは60〜70cmクラス。その数ざっと30〜40匹!直感的にジャックナイフを行い、ヤスゴムを引いてヒラマサの群れの中に割って入った。ヒラマサは少し距離を置いたものの、オレを中心に半径2〜3mほどの距離をグルグルと周回!初めて回遊魚に回られた瞬間だった。爽快だった。興奮した。前回の失敗は頭の片隅にも無かった・・・。ただただ無心でヒラマサが射程圏内に入ってくるのを待っていた。数秒、十数秒・・・どのくらい待っただろうか・・・一定周期で回り続けるヒラマサの中に、オレに興味を示し、ルートを乱したヤツが居た。そのファーストチャンスに狙いを定め、ヤスを放った!



ブシュッ!!


 ヤスは下腹付近を押し棒の根元まで貫通!その直後、一瞬間を置いて小刻みに暴れだすヒラマサ!「ど、どうすれば良い!?」「強引に引っ張っていいのか??。」躊躇している間にヒラマサの腹の傷口がどんどん広がっていく・・・そして・・・。

・・・。

 チョッキは押し棒から離れること無く、魚は腹に大きな穴を開けて青黒い海の向こうへ・・・。

 情けねぇ・・・。

 反省することだらけです。

■ 3本目 (ポイント・GW)

 時間的にも最後の一勝負だったが、ここでの1時間は水中撮影をメインに楽しむことに。
 ヤスも一応持って入ったんだけど、良い魚には1匹も出会えず。また、透明度も悪く、写真もイマイチだった。もちろんボウズでエキジット。

■ 本日の総括

 嬉しさと悔しさがゴチャ混ぜになった微妙な一日。気持ちの上にもう少し余裕があれば、今回のバラしはおそらく回避できただろう。反省すべき事は多々あったが、得たものが多かったのもまた事実。凹んでばかりはいられない。回遊魚との距離はそう遠くないはずだ。次回の突行にて、必ずリベンジを!


場所 島根県
『本日の突果』
天候 曇り
海況 風速4m 波2.0m
―――
透明度 5〜10m
潜水時間 9:30〜16:15
最大水深 14.5m(25.4℃)
ヤス 3.2mチョッキ銛 
フィン エスカペ
突果 イシダイ 60cm (自己記録) 58.5cm
本日の食卓
イシダイの皮ホルモン

クエや良型のキジハタを食べる時には必ず食すこの料理。皮と胃袋を柵切りにして塩胡椒で炒めるだけのシンプルな料理だが、究極の珍味と言っても過言じゃないくらい美味い。それを今回はイシダイにて初挑戦。胃袋はハタ科のそれよりあっさりとしていて上品。逆に皮はしっかりとした歯応えに、独特の風味があり、これまた美味い。デカいイシダイの胃袋・・・捨てるのは勿体無いです!





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