釣行記

『梅雨の中休み』

突行日 2005.7.13


記録的に降り続いた大雨も、ここ数日は小康状態を保っている。とはいえニ本の一級河川が流れ込む島根県西部の沿岸部は、雨上がりの透明度が非常に悪く、ポイント選択を誤れば伸ばした掌が霞むほどの海面状況に。せっかくの仕事休みに日本海へ行ってまで汚れた海で潜る気は無い。というわけで、今回の日本海遠征は魚影よりも透明度を求め、島根県東部のポイントを攻めることにした。

今日の合同突行者は、先日サケガシラポイントで知り合った広島素潜ラーの水君。3時間に及ぶ楽しい道中には、小ネタになるような事件が数多くありましたが、文章にすれば相当長くなるのでここでは省略させていただきます。


■ 1本目(ポイント・NY)

ポイント到着は8時30分。岸壁から見える海面状況は波、透明度共にかなり良い感じ。雨は断続的に降り続いているが、それが功を奏してか釣り人の数も疎らで、不必要なプレッシャーを感じることなく魚突きに没頭できそうだ。最近緩みがちな腹の調子も、今日は全く問題無し。好条件に恵まれた中、9時過ぎよりエントリーを開始する。

それからほんの数秒後…。

最初の大きな岩を越えると、いきなり50cm超のイシダイが1匹視界に入ってきた。その距離は僅か4〜5m。縞模様は薄っすらと残っているが、大きな厳つい体は全体的に黒ずみ、磯の王者の風格さえ感じさせる。開始早々のビッグチャンスだ!海面より少しずつ距離を縮め、ジャックナイフと同時にゴムをMAX引き。そして次の瞬間、

ブチッ…。(ゴムが切れる音)

…(涙)。

もちろん危険を察知したイシダイは、逃げの態勢へ。最悪のスタートじゃん(涙)!…と思いきや、逃げるイシダイを目で追うと、幸運にも直ぐ近くの岩下へと入って行くではないか!?急いでゴムをセットし直し、臨戦態勢で後を追う!入った岩下の水深はなんと2m弱。メチャメチャ浅い。しかも岩下の入り口は上に向かって広がるように開き、イシダイは海面から丸見えだ…。こんなラッキーな展開があって良いのか?若干戸惑いながらもロックオン。岩下のスペースは意外にも広く、奥には大きな抜け道が見えたため、ファーストチャンスを見逃さず、海面よりヤスを撃ち込んだ!



ザシュッ!!


「よっしゃ〜!!」


しかし息をつく暇も無く
・・・



ブチッ…。


「んっ…???」



〜この一瞬の解説〜
奥のスペースへ逃げ込もうと反転したイシダイに対し、やや焦り気味に放ったヤスは背中付近を確実に貫通。その直後、撃たれたイシダイはセオリー通りの“硬直時間”無しに、瞬発的なワンダッシュを仕掛ける!貫通してるっしょ…と余裕をかますオレ。ところが爆走するイシダイは、最初のテンションでいきなりラインを引き千切り、岩下の奥、そして遥か彼方へと・・・。

しばらくは目の前の出来事が信じられず、海面でプカプカと放心状態に。硬直時間があったのはイシダイよりむしろオレの方でしたね。。。老朽化したケプラーのラインが原因ってのが何とも情けない話。事前に防ぐことの出来た凡ミスだけに、悔しさと虚しさは募るばかりです。

ふぅ〜。

気を取り直して突行を再開。とりあえずは沖まで少し泳ぎ、潮当たりの良い磯場を目指すことに。

気掛かりだった透明度は予想以上に高く、10m弱の海底なら楽に見渡せるほど。全体的な魚影としては前回に比べると若干薄めだが、肝心のイシダイは小粒ながらも数は揃っている。あとは居着きのメバル&メジナの大群に、タカノハダイやニザダイ、コブダイ、アイゴ、ウマヅラが迷い込むといった状態。

そんな魚影の中、大型イシダイとの出会いを求め、潜行と浮上を繰り返すこと約30分。何の前触れも無く60cmクラスのイシダイにバッタリ遭遇したが、@穴に追い込むべきか、A隠れて寄せるべきか・・・と、悩んだ挙句にAを選択し、それが見事に不正解。やっぱ攻めなきゃダメだったな。そしてAはチヌの答えだったのかもね。

それから約10分後、今度は中層付近で瞑想中のイシダイ(50cm弱)を海面より確認。そのまま少し様子を窺った後、先程の経験を生かして@を選択。静かに潜行しながらジワジワと距離を詰めて行ったが、穴に入るどころか逃げる気配すら感じられない。数秒後、そのままスムーズに射程圏内へ・・・、そしてロックオン。難なく捕獲したイシダイは47cm。

その後は30分近く1匹のキジハタ(35cm前後)と隠れんぼを楽しんだが、結果を出せないまま1本目のタイムアップ。海面を泳ぎながらエキジットポイントへ向かう際、ふと視線を前方へ向けると、海底付近を低速で巡回中のスズキを発見。周囲には大きな障害物が何も無かったため、死角から寄るより最短距離でストレートに寄った方が良いと判断し、ジャックナイフの後は一直線に射程圏内へと向かう。もう少し・・・。もう少し・・・。そして数秒後、射程圏内に捕らえると同時に頚部目掛けてフルパワーの一撃を放つ!


ドスッ!!


視覚から伝わる重い感触!キルショットを外れたためステンレスの押し棒は根元から大きく曲がってしまったが、チョッキのラインを走らせること無く、両鰓に手を入れてガッチリキープ!!そしてそのままエキジット。採寸の結果は89cmと今季2番目のグッドサイズ!旬の季節だけに重量感は堪らないね♪
しばらくして水君もエキジット。突果はイシダイ46cmとオカズメバルを確実に量産。ちなみに水君にとってはこれが初イシダイだったらしいが、初イシダイが46cmってのは何気に凄いよね。

■ 2本目(ポイント・NY)

しばらく団欒した後、軽く水分を補給して2本目へ。いつの間にか漁船が出ていため、沖にはほとんど出る事ができず、仕方なく2本目は西側のエリアを攻めることにした。

透明度、魚影共に1本目の離れ磯付近に比べると今一つだったが、イシダイの絶対数に限ってはこちらの方が上かも。30〜40cmのスルーサイズを中心に、潜ればほぼ毎回のように視界に入って来る。同じ島根の沿岸部とはいえ、西部地方では考えられない生息密度ですね。

しかしそんな濃い魚影とは裏腹に、開始からしばらくは我慢の時間帯が続いた。30分近くが経過するも、50cmオーバーはなかなか視界に入って来ない。潮が悪いのか?寄せが甘いのか?潜れど現れない大型イシダイに見切りを付け、気分転換に岩下巡りを開始する。ここでメインターゲットはイシダイからキジハタへと変更。

ところがその数分後、何気なく覗いた岩の亀裂に、推定50cmクラスのイシダイのシルエット(体の一部)を確認する。亀裂の深さは約1m。長さは2m近くあったが、幅は僅か5〜10cm程しか開いておらず、ここからは捕獲どころかイシダイ自身も通れそうに無い。視点を切り換え周囲を見渡すと、岩の側面に30cm四方の小さな入り口が一つ。そしてそこから奥に出来たスペースを覗くと、、、居ました、良型のイシダイ!スペースのさらに奥からは光が少し射していたが、魚1匹が抜けられるほどの幅は無い。
この状況を例えて言うなら“丸底フラスコを横にした状態で、その中の魚を外から突く”・・・といった感じ。これだけ聞けば捕獲は容易く思えるだろう。しかし岩穴(通路)の狭さと薄暗さに加え、中のスペースが微妙に広く、入り口から中を凝視しても稀に尾鰭付近がヒラヒラと見える程度。黒ずんだ頭部等は全く見えない。しかも入り口からスペースまでの距離は2m近くもあり、腕を強引に突っ込んでヤスを構えなければ射程圏内にすら入れそうもない。もう一つ言えば、腕を突っ込んでヤスを構えると、穴の中が凄ぇ〜見え辛かった。

さすがにハイリスクな行為は避けようと、体勢的にも無理の無い形で射程圏内に入るのを待ったが、30分以上粘っても確実性の高いアタックチャンスは巡って来ず。そこら辺にある海藻や磯物を使って何度も寄せを試みたが、全く反応は無い。“袋の鼠”状態のイシダイに対し、まむしのみ〜ちんが牙を剥いたのは1時間近くが経過しようという時だった。残された手はもう強行策しかないでしょ?

息を整え潜行を開始。そしてゴムをMAXで引き、岩穴に腕を突っ込みヤスを構える。「ん〜。魚が見えねぇ・・・。」かなり難しい体勢だったが、イシダイの尾鰭がチラっと見えた瞬間に、胴体の位置を予測してヤスを撃つ!

カーン…。

ミスショット…。ヤス先は複雑な岩肌の何処かに直撃した様子。しかしイシダイに逃げ場は無いはずだ。一旦浮上し、呼吸を整え再潜行。岩穴、そして亀裂よりイシダイの存在を確認し、2度目のアタックを試みる。

ブスッ…。

今度は当たっただろ?しかし岩穴からヤスを引き出そうにも手応えは無い。数回の空潜りの後に訪れた3度目のアタックも失敗。おかしい・・・、当たってるはずなのだが。。。ヤスが届いていないのか?4度目は腕を目一杯伸ばし、撃つ瞬間は魚を確認せず、勘を頼りに撃ち込んだ!

ブスッ…。

当たったのか?ヤスを引くと、重量感とともに生体反応アリ!見れば体のど真中にストライク!岩肌に擦りつけながらも強引に引っ張り出し、傷だらけのイシダイを無事捕獲完了。ヒレのサイズから50cmオーバーを期待していたが、エキジット後の採寸では若干小さめな48cm。目標の50cmには僅かに及びませんでしたが、初めて1日で良型イシダイを2匹揃えれた事に満足し、13時30分、予定より少し早めの納銛と致しました。

■ 本日の総括

相変わらずこのポイントの魚影は凄い!イシダイに限っては水深10m未満にも関わらず、サケガシラPや明太子SPでは考えられない生息密度とアベレージサイズだ。このポイントではこの程度の突果で満足してるようではいけないのかもね。とは言え1匹のイシダイに合計4回もヤスを撃つようでは、まだまだ偉そうなことは言えないよな(笑)。


場所 島根県某所
『本日の突果』
天候 雨のち曇り
海況 風速3m 波1.0m
小潮 干潮 8:30
透明度 7〜10m
潜水時間 9:00〜13:30
最大水深 9.8m(24.2℃)
ヤス 3.2mチョッキ銛 
フィン エスカペ
突果 スズキ 89cm
イシダイ 2匹 48cm 47cm
イシガキダイ 36cm
(自己記録)





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