釣行記

『石鯛』

突行日 2005.6.12


今日も行き先は日本海。はしけんさん、アイシさんと共に早朝より島根へと向かい、現地にて島根医大の魚突きサークル・銛部と合流。個人的には銛部の前で良い魚を獲った記憶が無いので、今回も密かに闘志を燃やしていたのですが・・・。

■ 1本目(ポイント・GW)

9時30分、魚影の濃そうな海域から漁船が居なくなったことを確認し、エントリーを開始する。
海は穏やかだったが、前日に降り注いだ雨の影響で海面全体に濁った層が出来ており、透明度は6〜7mとイマイチ。しかも魚影は全体的に薄く、その割には釣り人がやたらと多い。魚突きをする上では不完全燃焼になりがちな環境は揃っていた。

結局1時間半の突行で、回遊魚や良型のイシダイは1匹も見ることが出来ず。唯一捕獲対象に上がった35cm前後のキジハタも、−13〜14mの海底でチョロチョロと忙しく動き回り、4回(恐らく同一個体)も目撃しながら一度もヤスを撃つことが出来なかった・・・。

突果どころかヤスを構えることも無く、1本目を終了。ここでお別れとなった銛部の前では、またしても“撃沈”という残念な結果に終わってしまった。

■2本目(ポイント・NY)

透明度と魚影を求め、ポイント移動をする事に。車を走らせること約30分、クリプトさん案内の下で到着したポイントは、去年jimmyさんやrioさん達と潜った潮当りの良い外海のポイント。思えばあの時は波に酔い過ぎて、30分も経たないうちにノックアウトされてしまったという苦い記憶が・・・。

12時過ぎ、心の中でリベンジを誓いながらエントリーを開始する。前回は向かって西側のエリアを攻めて失敗したため、今回は真向かいに位置する離れ磯を目指すことに。全体的に透明度は10m前後抜けており、魚影の方も小魚が目立つが、明らかに1本目よりは濃い。目的の磯周りの魚影はさらに濃く、目を瞑って適当に穴撃ちしてもメジナ(30〜45cm)やメバルは簡単に突けそうな程だった。ちなみにここでの魚影を構成するのはメジナ、メバル、ニザダイ。ここにコブダイやサンバソウ、稀に大型のイシダイが顔を見せてはこちらの興味を擽ってくる。

最初に大きなイシダイに出会ったのは、開始から20分が経った頃。海底に張り付いてメジナとニザダイの群れをボ〜ッと眺めていると、遠くの方から少しずつ大きなシルエットが近付いて来るのを確認する。サイズは推定55cm!縞々が薄れて体全体が黒ずんで見える立派な魚体だった。直ぐにヤスを構えて身を隠し、岩をゴリゴリしながら寄せてみたが、射程圏内ギリギリの所で何度も何度も素早いターンを繰り返されてしまう。
 

勝負に出るか!?


当たるとは思うが確実性に乏しい・・・。


ん〜・・・。息が・・・。


あと1歩が寄り切らないイシダイを前に、ここは無理せず、刺激しないように一旦浮上を選択。直後の潜行ではイシダイの姿は見当たらなくなっていたが、空潜りを何度か繰り返すうちに、同色・同サイズの個体に2度3度と遭遇する事が出来た。しかし、反応が良い割には何度寄せても射程圏内までは近寄って来ない。初の大型イシダイの捕獲を目前に、足踏み状態から前に進めない。

4度目の出会いは約1時間後。時間的にも気持ち的にも少し焦りが出てきたが、相変わらずイシダイとは微妙な距離を保ったまま。またしても同じシチュエーションで終始こちらを嘲笑うかのような行動を見せるイシダイに対し、ついに仏のみ〜ちんにも堪忍袋の限界が・・・。


「このままじゃラチが開かんぜよ!!」


と、ついにゴリ寄せから一転、Uターン直前のタイミングを見計らってワンダッシュアタックをぶち込んだ!



ズバッ…!!!  (手応えあったぜ!!)



・・・ところが思ったよりも早く反転されたため、体のど真中目掛けて撃ったヤスは、尻尾の付け根付近(背側)にかろうじてヒット!!貫通してチョッキがしっかり効いているものの、もの凄いパワーで右へ左へと走られてしまい、なかなか魚を掴みに行けない!ラインからシャフトに伝わる衝撃は、これまでにない強烈な引き込み!


「やべぇ〜、やべぇ〜よ。どうするよ。」


そしてその数秒後・・・。


あぅ・・・(涙)。。。


身切れでジエンド。凄ぇダサいバラし方・・・。逃げられて“悔しいランキング”があるなら、ベスト3に入るくらい最低な瞬間を味わってしまった。傷を負ったイシダイに対しても、中途半端な事をして申し訳なく思う。 
壊れた接合部

後悔ばかりの残る2本目に、さらなる悲しい追い討ちが・・・。

帰り際にオカズサイズのイシダイ(36.5cm)を1匹だけ捕獲し、エキジットポイントへと到着。フィンとマスクを外し、岩の上に上がると同時に滑って転んで海にドボン。その衝撃でシュノーケルとマスクの接合部分が割れてしまい、シュノーケルの取り付けは不可能な状態に・・・。

はしけんさん達は一足先にエキジット済み。エキジット後に漁師の大集団に囲まれ、いろいろとクレームを付けられたらしいが、後から遅れて上がったオレはそんな事を知る由もなかった。 

ちなみにここでの突果はクリプトさんがイシダイ50cmと大ウマヅラ、そしてイナさんはヒラメの61cm!ん〜、良いモノ見せてもらいました。それに引き換え広島組は、アイシさんがイシダイ44cmを獲ったものの、オレはオカズサイズを1匹、はしけんさんは不発・・・。

このまま広島には帰れないっしょ?

・・・というわけで、広島組3人は泣きの3本目へと向かった。

■ 3本目(ポイント・HIM)

シュノーケルは壊れ、デカイシダイを身切れでバラし、ややヘコみ気味で臨んだ3本目。留め具の壊れたシュノーケルは、マスクのバンドの内側に強引に挿し込み、とりあえず最悪の事態は免れた。しかしオレのシュノーケル(Sプロのショットガン2)は普通のシュノーケルに比べて無駄に太く、その分マスクが横から圧迫され、顔が歪んでフィット感は非常に宜しくない。

14時15分、いまいちモチベーションの上がらないまま本日最後のエントリー。まずはホンダワラの林を抜け、沖合いにポツンと顔を出している磯場を目指す。魚影は2本目よりも薄いが、波は穏やかで透明度も10m前後と良い感じ。地形的にも雰囲気はまずまず良さそうだ。

沖磯へ着くなり潜行を開始。メバルやメジナの群れ、サンバソウ等は結構な数が揃っているが、大きなイシダイは全く見当たらない。しかしそんな事より気になったのは、マスク内への浸水だ。顔にジャストフィットしていないせいか、マスクのスカート部分から極微量ずつだがチビチビと水が入ってくる・・・。これは非常に煩わしい。一旦浮上し矯正を試みたが、やはり潜れば微量ながらも浸水が始まる。

それでも我慢しながら30分近く沖磯周りでの潜行を繰り返していたが、集中力も散漫になり、マスククリアのルーチンワークにもいい加減ウンザリしてきたので、海面からでも底の状況が見える浅場へと移動することに。ちなみにこの選択により、オレの中で今日の突行は終わりを告げたはずだった。しかし沖磯から浅場への移動中、ふと眼下を1匹のイシダイ(40cmクラス)がフラフラと泳ぎ去るのを確認。水深は10m弱。潜って寄せれば帰って来るかな?と安易に思いながら軽く潜行、海底に張り付きイシダイを呼び戻す。


ゴリゴリ・・・ゴリゴリ・・・。


・・・。



ゴリゴリゴリゴリ・・・。


・・・。



来ね〜なぁ・・・。


潜水時間に比例し、マスク内への浸水量も増していくため、あまり悠長な事は出来ない。一度軽めのマスククリアでマスク内の水を抜き、再び寄せをしようと前方に視線を向けると、遠くの方から先程とは別のイシダイが2匹、こちらに近寄ってくるのが見えた。1匹は40cmクラス。もう1匹は自己記録を上回る45cmクラスだ!

ゆっくりとゴムを引き、スタンバイはOK!そのまま左手でゴリゴリ岩を擦りながら、完全にイシダイが寄って来るのを待った。無情にもマスク内への浸水はチビチビと増していくが、この状況でマスククリアをする訳にはいかない!


ゴリゴリ・・・ゴリゴリ・・・。


・・・早く来てくれ・・・。



ゴリゴリ・・・ゴリゴリ・・・。


・・・。


スローペースだが、確実に近寄ってくるイシダイと、少しずつだが確実に浸水の進むマスク。タイタニックが沈む際、手錠に繋がれたジャックはこういう気持ちでローズを待っていたんだろう。僅かな時間が、とても長く感じる一時だ。


ゴリゴリ・・・。


・・・。


ゴリゴリ・・・。


・・・。


・・・来た!!!


2匹並んで寄って来ているように思えたイシダイだったが、最初に射程に入ったのは40cmクラスの小さい方。確実に獲れる間合い・・・コイツで妥協するか?しかし直ぐ後ろに寄って来ているイシダイは確実に自己記録クラス!何となく警戒する素振りも感じられない。ここは勝負だろ!!

ほんの数秒遅れ、大きなイシダイも真正面を向いたまま射程圏内へと突入!その直後、反転しかけた最初のチャンスを逃さずヤスを撃ち込んだ!



ザシュッ!!


ヤスは脇腹からエラの後方付近を貫通!ヤスが刺さったままのイシダイは、グゴッグゴッと鳴きながらも硬直して動かない。とりあえず押し棒先端部分を掴み、魚を抑えて急浮上!マスクの水を抜き、改めて目にしたイシダイは、デップリと太っていて最高にカッコ良い魚体!サイズも40cm後半はありそうだ!2年ぶりの記録更新は間違い無い!!

海から上がるとはしけんさんがオレのより一回りデカいイシダイを突いていた。ぱっと見で3〜4cmは違う。「やるなぁ〜!」と、その時はお互いクールに自分の魚を語り、お互いを称え合っていたが、心の内ではもう嬉しさが爆発寸前といったところだろう。そんな中、なんとはしけんさんのイシダイが、採寸の結果55.5cmであることが判明!「凄ぇ〜!」と思うと同時に、「んじゃ、オレのはどうなんだ!?」という欲が出てきた。ドキドキしながらメジャーを当てる・・・


2年ぶりの自己記録更新

・・・!?


5・・・51.5cm!!!


やったぜ!!!しかもなんだか得した気分♪

初の50cmオーバーの計測結果に、本日2度目のガッツポーズで一日を締めくくりました。

■ 本日の総括

今日一日、なんだかんだといろいろありましたが、嫌な事はすべて忘れました。最高です!


場所 島根県某所
『本日の突果』
天候 曇り時々晴れ
海況 風時々強く 波高1.0m
―――
透明度 6〜10m
潜水時間 9:30〜15:45
最大水深 13.3m(19.5℃)
ヤス 3.2mチョッキ銛 
フィン エスカペッツ
突果 イシダイ 51cm(自己記録) 36.5cm
本日の食卓
石鯛の刺身
鍋、刺身、カルパッチョ、吸い物・・・。1匹でこんなにも楽しめるイシダイを獲ったのは今回が初めて。産卵期で歯応え的には少し物足りなかったですが、旨みは十分ありました。
ん〜美味かったぁ!





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