釣行記


『大きなキジハタと、小さなキジハタ』

突行日 2005.6.1


2週間ぶりの日本海。天候、海況ともに恵まれた中、向かった先はもちろんサケガシラポイント。2週間前に発見した大型イシダイの潜む沈み根を、徹底攻略するのが今回の目的。

現地へは7時過ぎに到着。いつもの場所に車を停めようとしたが、今日は珍しく先客がいる様子。釣り人か?しかしよく見ると若者2人がウェットスーツに着替え、その近くにはヤスが置いてある。同じポイントを共有する者として、まずは後から来た自分から挨拶をしようと近付くと、「あ!み〜ちんさんですよね!?インターネット見てますよ〜。」と、逆に声を掛けられ、思わず面喰って挨拶の言葉を失ってしまう。インターネットの影響力に驚かされると同時に、出会った直後から友達のような気がして、朝から気分の良い一時でしたね。

軽く挨拶を済ませた後、一足先に彼らは海へ。それから約10分後、オレも彼等の後を追うように海へと向かった。

■ 1本目(サケガシラポイント)

今日の日本海は波が比較的穏やかな上、透明度が頗る高かった。少し沖へ出ると水深10mの底が海面からでも楽に追える。イシダイ自己記録更新へ向けての障害は何も無い。やや薄めの魚影が気にはなったが、浅場のポイントで軽く体を慣らせた後、高ぶる気持ちを抑えながら沖合いに位置するクチグロの根城を目指した。

高い透明度のお陰で目的の根はすぐに発見できたが、抱きすぎた期待は大きく裏切られる結果に・・・。前回多くのイシダイが陣取っていた大きな切れ込みにはドーンと一匹大きなドチザメが横たわっているだけで、周囲にはメジナやサンバソウがほんの数匹・・・。前回執念でキジハタを捕獲した岩の割れ目では、大きなタカノハダイが1匹、虚ろな表情でこちらを見ている。何だそりゃ・・・。かなり空かされた格好である。

何度か空潜りを繰り返したが、一向にターゲットの現れる気配は無い。気分転換も兼ねて付近一帯の沈み根を順に探って回るも、雰囲気の良さそうな穴や岩陰には何故か高い確率で大きなドチザメが居座っている。

「もしかして今日のこの薄い魚影はドチザメのせいなのか?」

そう思いながらも根周りの捜索を続けること約10分。海面を何気なく漂っていると、海底付近をお散歩中のコブダイ(80cm前後)が目に付いた。捕獲する気は無かったが、大きな岩穴の存在を教えてくれる事を期待し、海面より尾行を続ける。良い穴の存在を知るには、魚から教わるのが一番手っ取り早い。数十秒の後、ヤツはオレの目論見どおり、それまでノーマークだった岩下へと入って行った・・・。

「ほほう。そんな所に岩下が・・・。とりあえずサンキュー、コブちゃん♪」

息を整えて潜行を開始。水深は10mちょっと。岩下には想像以上のスペースがあったが、コブダイの姿はすでに見当たらず。岩下のスペースのさらに奥には約50cm四方の穴が2つあり、どの程度の奥行きがあるかは暗くて全く解からない。「もう少し詳しく調べてみる必要がありそうだな・・・。」一旦浮上し、もう一度潜行を試みる。数回のフィンキックで岩下付近の海底に着き、穴の方を見るため視線を上げる。すると4〜5m前方の岩下で、60cm前後の茶色っぽいハタ科のシルエットが、薄暗い奥の穴に向かって泳ぐのを確認!クエか!?マハタか!?しかし魚種を同定する間も無くヤツは穴の奥へ・・・。

そこからは正体不明のシルエットとの再会を求め、運に任せた空潜りを繰り返す。大きなハタである事は間違いない。5〜6回目の潜行で、その魚の正体が明らかとなった。岩下のスペースにどっしりと構え、厳つい顔付きでこちらを凝視する1匹の魚体・・・この模様、キジハタ!しかも凄ぇ〜サイズ!!こんなデカいキジハタが居ても良いのか!?

しかし、そのサイズに驚きながらも内心では…

 @ 前回よりも海が穏やか。
 A 穴の奥はおそらく行き止まり。
 B 水深も10mそこそこ。

…という状況から、粘れば確実に獲れるだろうと楽観視している自分がいた。

とりあえずこの回は岩下の形状や体勢的に少し撃ち辛かったため、ヤツが身を翻し、ゆっくりと穴の奥へと消えて行く際にもあえてプレッシャーはかけず、自然な成り行きで訪れるであろう次のチャンスを待つ作戦を取った。

ところが・・・だ。今日に限っては事が上手く運ばない。休憩を挟みながら何回、いや何十回潜ったことか。最初の目撃からすでに2時間近くが経過するも、キジハタとの3度目の再会は果たせぬまま。喰い付いたら離さない“マムシのみ〜ちん”
(※1)と言われてきたオレの執着心にもそろそろ陰りが見えてきた・・・。不本意だが岩穴の位置、形状だけはしっかりと頭に叩き込み、次回の突行へ課題を残す事とした。

実は今日は突行開始直後から常に胃に不快感を覚えていた。突行直前に飲んだ下痢止め(胃腸の動きを止める強めの薬)による副作用なのか?潜行からの浮上時に胃の辺りをグイグイと押さえ付けられるような感覚。吐くと不思議なくらい楽になるため、何度となく海中嘔吐を繰り返しながら潜行を続けた。しかし時計が10時を回った頃、胃の不快感に加え眠気も襲ってきたため、集中力が保てない。とりあえず一旦上陸し、体を休めてからリスタートをする事にした。

■ 2本目(サケガシラポイント)

さすがに2時間近くも同じ体勢で寝ていると、体の日陰になった部分にフナムシがたくさん群れていた。気味が悪くて飛び起きたオレに、ビビって逃げるフナムシ達・・・。その逃げる姿がまた気持ちが悪い。12時半過ぎ、そんな悪夢のような目覚めの後、2本目の突行を開始する。

胃の不快感は残っているものの、眠気はすっかり取れて良い感じ。手始めに先程のキジハタの穴へと向かったが、やはり姿を見せる様子は無い。周囲の根を渡り歩くも、現れるイシダイはどれも40cm未満。未だ一度も撃っていないヤス。潜行と浮上を繰り返すうち、胃の不快感は徐々に増していき・・・そしてまたまた海中嘔吐・・・(涙)。嘔吐の度に何度かエキジットしようかと弱気になったが、我が家の罰則規定
(※2)に触れないためにもオカズだけは獲って帰ることを渋々決断。まずは近くの岩の周りでフラフラしていたメバルを1匹ゲット。それから岩下を覗いた時に偶然居合わせたヒゲダイ(32cm)を悩んだ末に捕獲。

14時前、そろそろ帰ろうかと考えながら海面をフラフラしていると、−10m程の海底で黄色っぽいシルエットが岩下に入って行くのがチラっと見えた。ん?キジハタか?潜行して岩下を覗くと、胸鰭を大きく広げて待ち構え、こちらを威嚇(?)するキジハタの姿が。ちょっと小振りだけど・・・、美味しいから許して下さい。。。いつまで経っても横を向かなかったので、ビリヤードのような構えで狙いを定め、真正面から一撃。上手く頭から斜めに抜け、32cmの個体を捕獲。

一通りのオカズが揃った14時、不本意ながらも納銛としました。

海から上がると私服警官が2名。釣り人から密漁者らしき情報が入ったという事での職務質問。まぁ釣り人も密告するのは構わんが、少しは自分の目で確かめたらどうだ?と言いたいね。どうせ正義感だけで通報してるんじゃないだろうしさ。ケツの穴が小さいよ。

‐本日の総括‐

何で今日はあんなにドチザメばかり見かけたんだ?上にも書いたように雰囲気の良いスペースには何故かドチザメばかりが目立つ結果に。潮の影響か?時間の問題か?そして魚影には影響するのか?通い詰めなきゃ結論は出ないだろうけど・・・。次回以降に期待しよう。

※1「マムシのみ〜ちん」

噛んだらなかなか離さないマムシのように、狙った獲物はどんな小さな魚でもとことん粘る。というスタンスから巷ではこう恐れられている…。いや、自分でそう思っているだけかもしれない。

※2「我が家の罰則規定」

我が家では突行時のガソリン代を家計(食費)から肩代わりするため、突果における料理の品数とガソリン代がシビアな相関関係を築いている。
ここに例を挙げるなら・・・
1.県内遠征ではボウズだと家計に対し、500円の罰金
2.県外遠征ではボウズだと家計に対し、2000円の罰金
3.ここでのボウズとは食卓に2品以上の料理を出せない事を言う。1匹で補える場合もあれば、3匹獲っても罰則規定に触れる事も。
4.ガソリン代を全額自腹で払うならこの限りではない。
5、月初めの突行は、ボウズでも許される事が稀にある。
といった具合。


場所 島根県某所
『本日の突果』
天候 曇り時々晴れ
海況 弱風 波高1.0m
―――
透明度 7〜13m
潜水時間 7:30〜14:00(途中2時間睡眠)
最大水深 13.6m(18.8℃)
ヤス 3.2mチョッキ銛 
フィン エスカペッツ
突果 キジハタ 1匹 32cm
ヒゲダイ 1匹 32cm(初突果)
メバル 1匹 2?cm
本日の食卓
(左)ヒゲダイの塩焼き (右)キジハタの水炊き
ヒゲダイは普通に食べて美味しい魚でした。あっさりとしたクセの無い白身は刺身、塩焼き、煮付けと何にでも良く合います。
刺身で余ったキジハタのアラは、このサイズなら塩焼きにするべきなのですが、今日も強引に鍋の中へ…。最後はうどんを入れて締めました!最高。





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