釣行記


『海の主』

突行日 2005.4.27


今日のターゲットはブサイクだけど美味しい魚・ウマヅラハギ。言うまでも無いが、この時期のウマヅラは身が太っていて肝がデカい。そのうえ産卵に備えて群れで接岸し、捕食のために警戒心も薄れる。旬で獲り易いとくれば、狙わない手は無いでしょう!?

■ 1本目(ポイント・FG)

近場ということもあり、今日はゆっくりと昼過ぎからの突行。ウマヅラのみの狙いならポイントはAAで十分だったが、もしかしたらイシダイも顔を出す頃かな?と欲を張り、潮当たりが良く、少しでも大物が期待できそうなポイント・FGを選択した。

13時過ぎ、寂れた船着場よりエントリー。透明度は3〜6mと、このポイントにしてはかなり良い。水温も1週間に約1℃のペースで順調に上がってきているが、魚影の方は予想外の薄さで、肝心のウマヅラは群れではなく単発的にチラホラと遭遇する程度・・・。ただ、メスの肝の大きさはやはり半端なく、正面から向き合うと腹の厚みが卵も入れて2倍近くになっている。警戒心は強い個体もいれば、反対に銛先に興味を示して寄ってくる個体まで様々だった。

開始から約30分で30cmオーバーのみを対象に4匹捕獲。5匹獲れたらポイントを移動しようと決め、最後の1匹を探している時、“海の主”は何の前触れも無く現れた。

水深7〜8m。岩と僅かに生えた藻の陰から顔を覗かせると、約3m前方に30cm強のウマヅラと、その真横に40cm前後のチヌを1匹確認。とりあえず軽くゴムを引いてヤスを構え、どちらかが寄ってくるのを待った。しかし10秒経っても20秒経っても2匹はまるで知らぬ顔。ならばと、仕方なくこちらからモーションをかけようとした時、その2匹のさらに1〜2mほど奥を、今まで見た事も無い超ド迫力の魚が視界を横切ろうとしていることに気が付いた・・・、マダイだ!!
それは話にならないサイズだった。水族館でも見たことが無い。去年オレが獲った60cmちょいのマダイなんてコイツの足元にも及ばねぇ・・・。体高、全長、迫力、まるで手前に居る40cm級のチヌが幼魚に見えた。80や90じゃない、メータークラスは確実!ピンクというか薄肌色に近いその巨魚は、尾鰭をピンと伸ばし、一定の速度で左から右へ悠然と平行移動している。

今思えばその迫力に完全に呑まれてしまっていた。息が続きそうになかったのもあるが、冷静な判断が出来ていなかったのもまた事実。圧倒されて動けないのではなく、逆に吸い込まれるように無心でマダイへと寄って行っていった自分がいる。しかしこれが結果的には良かったのかもしれない。死角を利用してそのまま静かに近寄ることができ、手前にいたチヌやウマヅラが逃げ出した頃、ついにマダイは射程圏内ギリギリの所まで!

ところが、ここで大きな誤算。寄りながら気付いた事だが、こんな時に限ってゴムは対ウマヅラ用にと最初から8分程度にしか引いていなかった!今からゴムの引き直しを?ここで大きな動きをするわけには・・・、、、しかしこの間合いなら撃っても確実に弾かれる・・・!?

あと50cm・・・、あと50cmが・・・・・・、遠かった・・・・・・・・・。

ダメ元で撃つか否かを躊躇するオレに対し、警戒したマダイは容赦の無いスピードアップ。結局これに付いて行けず、“海の主”大マダイとはこれでお別れとなった。

時間にすれば僅か10秒そこそこのやり取りだった。しかしこのレポートを書きながらでも、思わず手が止まり、その時の事を思い起こしてしまう。もし最後にワンダッシュしていれば・・・。もしゴムをMAXで引いていて、そして良い所に刺すことができたら・・・。その時は一体どんなパワーで引き込まれるのだろう・・・?次に会った時は・・・。

考え出したらきりが無い。帰りの運転中、風呂での一時、ウマヅラの肝で一杯やりながら、次の日の仕事中、そして今、もちろん今後この突行記を読み返した時・・・、いつの間にか妄想に耽り、その度に熱くなって我に返るバカな自分がいる。でもこの感覚、魚突きをする人なら誰もが解ってくれるだろう。すでに終わったことなのに、何故か堪らなく気持ち良い。

獲れなかった魚について、こんなにも長々と書いたのは初めてかな(笑)。ま、それだけいろいろと思うところがあったという事で・・・。もちろんその後もマダイを待ちましたが、そう簡単に現れる魚ではないですね。1時間ほどで諦めて、次のポイントへと車で移動。

■ 2本目(新ポイント・IO)

1ポイント目からは約10分。以前から目ぼしを付けていた新ポイントを開拓。どちらかといえば陸から見た雰囲気はポイント・FGよりも格段に上。かなりの期待を胸に車を降り、両手に道具を抱えてルンルン気分で波止場の階段を下りていると、湿った海藻で足を滑らせ豪快に尻もちをつき、そのまま勢い余って恐怖の階段4段滑り・・・。一瞬何が起こったのか理解できず、しばらく立てなかったですね。ウェットスーツのお陰で身体には傷一つ無いものの、グローブをしてなかったので両手からは流血。しかし、痛みより何よりカッコ悪過ぎ・・・。周りを見渡し目撃者が居ないことを確認し、ほっと胸を撫で下ろす。それから何事もなかったかのように立ち上がり、そそくさと波打ち際へ向かいました(笑)。

ポイント的には可もなく不可もなく・・・、といったところ。やや遠浅だったが、透明度、潮当たりもそこそこ良く、ウマヅラの数はポイント・FGよりも多い。しかしウマヅラ以外にはこれといった魚には最後まで出会えず、結局ここでは1時間ほどで30cmオーバーを6匹捕獲し、1本目と合わせてちょうど10匹となったところで納銛としました。

‐本日の総括‐

予定通りの突果に終わったが、内容的には充実した突行となった。マダイは必ず同じ道を通るという話をどこかで聞いたことがある。通い詰めればチャンスは必ずやって来るはずだ!
ちなみにウマヅラはジャスト10匹をオール頭撃ち!あと1ヶ月くらいは楽しめそうですね♪


場所 FG、IO
『本日の突果』
天候 晴れ
海況 風弱く 波高50cm
中潮 満潮 10:00
透明度 3〜6m
潜水時間 13:00〜15:30
最大水深 8.4m(13.8℃)
ヤス 3.2mチョッキ銛 
フィン ワープフィン
突果 ウマヅラハギ 30〜38cm 10匹
本日の食卓
写真左:この時期は1匹からこれだけの大きさの肝が取れます。

写真右:やっぱコレだよね♪薄造りを生肝+醤油+山葵+葱の肝ダレで豪快に頂く!どちらが主役か解りませんよ(笑)!





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