我が家の諸事情により、急遽海へ向かうことになった。簡単に言えば冠婚葬祭等で祭壇(神棚)に御供えする真鯛を獲るためだが、もちろん真鯛なんて狙ってもそう簡単に獲れるものではない。しかし今回御供えする魚は格好が良ければ真鯛でなくても良いらしく、それを知ったおかんが魚屋に頼らず、当日(早朝)のオレの突果に託したというわけです。そうは言ってもこの辺で獲れる魚で真鯛に順ずる容姿の良い魚といえばチヌ(黒鯛)くらいしか思い付かない。従ってターゲットは必然的にチヌに決定。目指すサイズは35〜40cm。視覚的な問題からか、大き過ぎても小さ過ぎてもダメらしい。もちろん体に大きな穴を開けるのもNG。
「頼んだよ。鯛、注文してないから。チヌで良いからね。」
・・・と、おかんは気楽にオレを送り出す。簡単に言ってくれるが、何かと制約が多いじゃないか。いかに3月に入ったとはいえ、警戒心の強いチヌを“絶対に獲らなければならない”という背景はかなり厳しい。
■ 1本目(ポイント・FG)
久し振りにホームポイント・AAでの突行を考えたが、確実性という面から、ここ最近安定して実績の高いポイント・FGを選択。チヌ1匹獲るまでは海から絶対に上がらん!という意気込みを持って海へと向かった。
朝7時45分。寒さとプレッシャーに負けまいと、TMレボリューションの『HIGH PRESSURE』(古いねぇ)を口ずさみながら、意気揚々とエントリーを開始。
「カラダを、夏にして〜♪過激に!さ行こう♪♪」
「・・・。」
ホンダワラに囲まれたエントリーポイントの水温は8℃台。自然とワンフレーズで歌が終了。ある意味過激ではあったが、身体は夏には程遠い状態。痺れるような低水温に身体を慣らしながら、50m程沖にあるポイントを目指す事に。 透明度は相変わらずだったが、魚影の方はまずまず。ポイント到着後、最初の潜行からいきなりウマヅラとの御対面。狙いはあくまでチヌだが、晩飯のオカズ用にとりあえずキープしておきますか・・・。と、ミドルレンジから一撃。ヤスは当たり前のようにウマヅラの横っ面を捕らえ、難なく捕獲完了。幸先は良い。しかしウマヅラをスカリに通している間に、無情にも下腹部に危険信号が走った。
何故こんな時に・・・。夏なら一度上がって野に放つこともできるが、このクソ寒い季節にそんな悠長なことが出来るわけがない。容赦なく次々と打ち寄せて来る大波小波。水面にて波が過ぎるのを待ち、騙し騙しの潜行を繰り返すが、やはり集中力が無いせいか出会うチヌには尽く見放されてしまう。
ヤスを撃つことなく30分が経過。状況は悪い意味で平行線。意識が遠のきそうなほど際どい場面が何度かあったが、寸でのところで堪えている状況。お腹にかかるウェイトベルトの圧力が非常に憎らしく思えた・・・。ウマヅラは何匹か獲れそうなシチュエーションがあったが、無駄な体力を使いたくなかったためオールスルーでチヌ狙いを続ける。
最初のチャンスが来たのは開始から1時間近く経った時だった。
水深6〜7mのポイントにて藻の陰をのんびりと泳ぐ無警戒なチヌを発見。少し距離があったため慎重になるべきところだったが、撃てるタイミングは今しかない!と、とっさにヤスを向けてワンダッシュアタック!!
やや焦り気味に放ったヤスは、チヌの横っ腹を貫通!とにかく傷口をできるだけ小さく済ませるため、手っ取り早く魚を掴み、エラ抜きをして絞める。「ふぅ〜。獲れた獲れた。」嬉しさよりも一安心。サイズは40cm弱。脇腹から腸が少しはみ出したが、傷口が小さいので指で押し込めば目立つことはないだろう。そんなことより押し込むわけにはいかないのがオレの生理的欲求。チヌを慎重にスカリへと通した後、一目散にポイントを後にしたのは言うまでもありません。
‐本日の総括‐
ホント、獲れて良かった・・・。何だかんだと初めのうちはプレッシャーを心地よく楽しんでいたのですが、腹が下ってからはそんな余裕なんてどこにも無かったですね。本気で何度か諦めようと思ったのですが、神がオレに与えた試練だと思って潜り続けましたよ(笑)。自分で言うのも何ですが、とても良くがんばったと思います。
場所 |
FG |
『本日の突果』 |
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天候 |
曇り時々晴れ |
海況 |
風弱く ベタ凪 |
潮 |
中潮 干潮 7:30 |
透明度 |
3〜4m |
潜水時間 |
7:45〜9:00 |
最大水深 |
8.5m(9.8℃) |
ヤス |
チョッキ銛 3.2m |
フィン |
ワープフィン |
突果 |
クロダイ 39.5cm
ウマヅラハギ 37cm |
本日の一枚 |
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こんな感じになりました。
見ての通り、傷口は目立たず、三方(台座)に載せてみると大きさ的にも調度良い感じですよね!ま、サイズは狙って獲ったというよりも、かなり結果オーライな感じですが・・・。 |
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