釣行記


『繰り返す過ち』

突行日 2004.11.17


いつの間にか11月中旬、もう本格的な冬間近ですね。水温の低下と共に魚もオレも少しずつ活性が下がってきました。海の中ではホンダワラが急激な成長を見せ、出会う魚種も冬バージョンに。そんな中、今日は遠路遥々高知から活きの良い青年・ヌルハチ君を迎え、永吉さんと3人で山口巡業へと向かいました。

■ 1本目(沖合いのテトラ地帯)

オレの寝坊により通勤ラッシュのピーク時に広島市内を出発したため、予定よりかなり遅れて現地に到着。
最初に選んだのは、ある程度の魚影が期待される沖合いのテトラ地帯。ベタ凪で透明度は5m前後とまずまずの海況の中、10時30分より突行を開始した。

残念ながら今日の魚影は前回に比べてやや薄め。潮は決して悪くないだけに朝マズメを攻めれなかったのが原因なのだろうか。それでも潮当たりの良いポイントにはある程度の魚は集まっている。クロダイやメジナといったテトラの常連から、メバルやカワハギまで。そういえばここではカワハギばかりで、ウマヅラは1匹しか確認できませんでした。しかもその1匹もかなり人見知りの激しいシャイボーイ。顔を合わすと直ぐに逃げの体勢に入ったので、肝だけは潰さないように心掛け、斜め後方からやや強引に補導しました。

ちなみにこのポイントの水深は深いところでも10m程度。海面付近から中層にかけて小アジが大量に群れていたので、回遊魚に会えることを期待しながら潜行を繰り返すことに。思いが通じたのは30分が経った頃でした。

海底にて遠くを見ながらボ〜っとしていると、いつの間にかオレの真横3m程のところに銀色のスレンダーな魚体が・・・。もちろん体側には一直線に走る薄黄色のストライプ!ブリです♪サイズは60cm前後のハマチサイズ。こちらを横目で観察するかのように低速でオレの後方へ回ろうとするブリ。背後を取られてなるものか!と、刺激しない程度のモーションで身体を回し、体勢を整えてヤスを向ける。いつもならこの時点で逃げられるのだが、今日はそのままの自然な流れで射程圏内への突入(寄り)に成功!き、来たぞ!今ならやれる!念願の回遊魚捕獲に向けて、記念すべき初めての手銛発射!!!


にょろ。(←効果音)


・・・?・・・。

何がどう狂ったのか、豪快に放ったはずのヤスはニョロっと力無くブリの数センチ上方を通過・・・。本気で泣きそうになった数秒間の出来事でした。悪夢です。「頼む、今のは無かったことにしてくれ!」と、心からお願いしましたが、そんな願いも虚しくブリは爆走(涙)。ヤスを撃った瞬間、シャフトが何かに当たり初速が著しく遮られたような気が・・・。後から言える事はただそれだけですね。ま、今更何を言っても後の祭りですが…。

絶望の淵からなかなか這い上がることはできず、その後も未練がましくリミットの1時間半が経過するまで同一ポイントで繰り返し潜り続けましたが、残念ながら二度とブリが回って来ることはありませんでした。

しかしこのポイントでは嬉しいニュースもありましたね!永吉さんが突行5回目にして見事初チヌをゲット!!しかも2匹も。永吉さんのビクに入ったチヌを見た時は僕も初チヌゲットの頃を思い出しました。今度は少しずつサイズアップを目指しましょう♪

■ 2ポイント目(崖っぷちのポイント)

場所を変えての2本目。車を20分ほど走らせてやって来たのは“崖っぷち”のポイント。ここは今回で3回目の挑戦になるが、1回目は大型マダイ、2回目は良型のブリを目撃したかなりの好ポイントです。気を取り直してがんばるぞ!!イシダイの時期が終わりを告げる前に“泣きの一回勝負”を申し込むことが今日のメインテーマですから。

潮の流れは西から東へ。相変わらずこのポイントの魚影は濃く、良型の根魚は数多く揃っている。
最初のチャンスは開始から10分も経たないうちにやって来た。波止場から少し沖に出たところにある大きな沈み岩付近で50cm弱のイシダイとばったり遭遇!でかい!しかもすでにイシダイは射程圏内ギリギリのところにいる。


寄るか!?寄せるか!?



結果は・・・ん〜・・・やや焦った。何故か焦った。ってか、かなり焦ってた。。。
水深は10m以浅、しかも潜行直後だったので息もまだまだ持ちそうだったし、もっとじっくり寄せれば良かったのだが・・・。悔しいやら情けないやら・・・。まだまだ青いね。

そしてまたもや未練タラタラのピストン運動を開始する。しかし、しつこく潜行と浮上を繰り返すも、イシダイに関しては30cm弱のサンバソウ数匹に出会えただけ。途中、水深7〜8mの所でこちらの様子を伺っている40cm弱のチヌを発見。この時期にしては太っていて美味しそうだったので、誘惑のジャンピングアタックで見事に捕獲。その数分後、水深3mの所で泳ぐ40cmオーバーのチヌを海底からの浮上中に確認。死角から詰め寄り、エラ後方に向けて落ち着いて一撃!至近距離からフルパワーで撃ったヤス先は、押さえもいらない程しっかりと刺さり、何の滞りもなく取り込み完了。腹も減ってきたのでこの辺で一旦上陸し、昼飯休憩をとることにした。

ちなみにこの2本目、ヌルハチ君がエントリー直後の超浅場でアイナメ44cmを水面撃ちでゲット!彼の嬉しそうな笑顔がとても印象的でした。ってか、何気にオレのチヌよりデカいんですよね〜(涙)。
 「み〜ちんさんのチヌの方が凄いっすよ〜」っていう余裕のコメントが僕の心を余計に深く傷付けました。

■ 3本目(崖っぷちのポイント)

時間的にも最後の1本。リミットは1時間ということで、足早に2本目の初めにイシダイを見たポイントへと向かった。今日のこのポイントはいつもに増してコブダイを多く見かけた。しかも50〜80cmクラスが、会えば数回に一度の割合で射程圏内に入ってくる。突けば確実にヒット出来るが、果たして13mmのシャフトで無事に取り込めるだろううか・・・。アイナメ44cmに対抗してドデカいヤツを突いてやろうとも思ったが、結局ヤスは向けただけで手は出さず。しばらく近くで観察していると、ようやくオレの存在に気付いたコブダイは「ブゥォンッ!」という独特のドリフト音を残して暗い海の底に去って行く。他の魚を寄せている時にはかなり迷惑な騒音だが、普通に聞けばカッコ良い。これが釣り師の言う“カンダイのひとのし”というヤツなんだろう。巨体から繰り出される瞬間的なパワーは音を聞けば一目瞭然。今日は何度も何度もそのドリフト音を聞かされ、改めてコブダイの秘めた力を知らされたような気がした。

その後も幾度となく空潜りを繰り返す。そして潮の影響からか魚影がやや薄くなりかけた3時30分過ぎ、本日最後の大物ラッシュアワーが訪れた。

水深10m前後の海底にて、10尾あまりのブリの群れに遭遇。まったく寄る気配がなかったのでこちらから近付いてみたが、微妙な距離を置かれ射程に入ることはできず。仕方なく浮上し、息を整えて再潜行。ブリの姿は跡形も無かったが、3〜4m離れた岩陰に薄っすらと大きな魚影を確認。「またコブダイだろ」そう思って視線を逸らしかけたが、良く見ると灰色の魚体に縞模様!?イシダイじゃん!!しかもデカい!!軽く50cmは超えている!初めて見る大型のイシダイ。明らかにこちらを意識しているヤツは、オレが海底に着底するや否や急な動きを見せて視界から消えてしまった。しかし驚かせてはいないので、必ず戻って来るはずだ・・・と、岩陰に身を隠しイシダイの再来を待つ。

5秒・・・10秒・・・15秒・・・!?・・・き、来たぁぁぁぁーーーーー!!

薄っすらと見えるシルエットが少しずつ近付き、はっきりと、そして大きくなってくる。「さぁ、お前はどこまで寄って来るのか?」魚を寄せている時にのみ味わえる、胸躍る感覚だ。そしてこれを征してこそ真の仕事人。ヤスを構えて準備は万全!・・・ところが今回のイシダイはあと2m程の所でビタ止まり(汗)!あともう少し近う寄れぃ!!願いは通じずイシダイはそのまま横を向く。さぁこれからどうする?どうすれば良い?迷っているうちにイシダイはもう一度逃げの態勢に入る!「もうこれ以上息は持たん!」今しかない!と、苦し紛れに繰り出したジャンピングアタックは無情にもイシダイの体を掠めた程度で交わされてしまった・・・。そして、不用意に驚かせてしまったヤツは、もう2度とオレの前に現れる事はないだろう。

悲しみに暮れるオレにさらなる悲劇が待っていた。数分後、全く同じポイントで10尾近くのブリの群れと遭遇。しかも今度のヤツらは低速でオレの目の前を横切ろうとしている。最後のビッグチャンスだ!今度こそは落ち着いて・・・。終わり良ければ全て良し!!と気合を入れてゴムを引くと、


「ブチッ・・・。」


・・・。


悲しい時〜♪
悲しい時〜♪


ブリの前でゴムがブチって逝った時〜♪


・・・。



■ 今日の総括

久々に多くの悔いが残る一日でした。しかし振り返れば今日の突行内容が今のオレの実力だとも思う。クロダイに関してはほぼ完璧だった。獲ろうと思った2匹は何の問題も無く捕獲。しかしイシダイ、ブリに関してはまだまだ経験不足。自らのミスで尽くチャンスを踏み潰してしまった。特にイシダイに対しては、若干苦手意識すら感じますね。今年に入ってから40cmオーバーはジャストサイズを1匹だけ。う〜ん・・・、成長してないなぁ。。。ブリに関してはヤスを改良して経験を詰めばなんとなく獲れそうな“気が”しますが・・・ま、これもただの強がりなのかもしれません。。。



・・・本日出会った魚達・・・
ブリ60cm前後の群れを数回  イシダイ50cmクラスを2匹(サンバソウ多数)
クロダイ45cmまでをに10匹前後  コブダイ40〜80cmを10匹  ウマヅラ25cmを1匹  
メジナ(各サイズ・多数) メバル(各サイズ・多数) スズメダイ タカノハダイ(?) クジメ カワハギ(小・多) ボラ



場所 山口県某所
『本日の突果』
天候 晴れ
海況 ほぼ無風 波高0.5m
中潮 満潮 12:30
透明度 3〜5m
潜水時間 10:30〜16:00
最大水深 10.7m(20.9℃)
ヤス 2又手銛 2.7m 
フィン エスカペ
突果 クロダイ 42cm(県外記録) 37cm
ウマヅラハギ 1匹
メバル 1匹
本日の食卓
メバルが美味いのは年中の事だが、チヌの味は確実に上向いて来ている。今回獲った42cmの方はヌルハチ君へお土産にと献上したので未確認だが、37cmの方はやや丸みを帯びて締まりも少し感じられた。
楽しみな季節はもうすぐそこまで来ている。
チヌが美味くないと広島の海は盛り上がらない!!
メバル・煮付け クロダイ・カルパッチョ





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