突行記 2010

『第3回 日本海遠征』
〜 勝利を手にしたのは… 〜
突行日 2010年 6月 30日

我が家のあやぱんでございます。

 5月17日に我が家に長女が誕生しまして、突行においては4月末より2ヶ月ほど育児休暇を頂いておりました。2歳の息子にもまだまだ手が掛かるため、数年内は突行頻度が減ってしまいそうですが、こんな時こそほど原点(初心)に帰り、記録や雑音にとらわれず一回一回の突行を心から楽しみたいと思っています。

 あくまで今年のテーマは『ノンストイック』ということで。

 さて、この日の同行者はサイモンさん&ヌルハチ君の二人。前夜のW杯・パラグアイ戦が延長→PK戦まで縺れ込み、睡眠時間が2時間程度という強行的なスケジュールになってしまったが、海に着く頃にはすっかり眠気も覚め、穏やかな海を目にするとテンションもモチベーションも上がって来た。

 ちなみにこの日は3人でUNDERTHEGREEN杯という名のコンペを行うこととなった。

【勝敗基準】
 ・イシダイ
 ・ハタ類(いずれか1種)
 ・回遊魚(いずれか1種)
 以上3魚種の最大サイズ(全長)の合計を競うという非常にシンプルなルール。同一魚種を2匹獲っても1匹しか計測できないため、「イシダイを寄せる技術」「ハタに寄る技術」「回遊魚に出会える運」の全てのスキルを発揮しなければ、勝利を手にするのは難しい。

【優勝商品】
 帰宅途中のコンビニにて、優勝者は2位からアイスクリームを、3位からはからあげ君をおごってもらう。

 こんな感じで久々の突行が幕を開けた。


■ 1本目(ポイントND)

 連日の降り積もった雨の影響からか、海面下7m程度は濁っているものの、そのラインを抜ければ比較的透明度は保たれていた。ベイトは所々に沸いており、スズメダイやメバル、アイゴ、グレなどの小魚の魚影も非常に濃く感じられ、意外な大物に出会えそうな雰囲気すら漂っていた。しかし、どういうわけか捕獲対象魚の魚影は非常に薄く、またイシダイに関しては反応の鈍さからかなり擦れている印象が伺える。

 開始から15分程に通り掛かったとある沈み根にて、サンバソウの群れの中を泳ぐ数匹の良型イシダイを確認する。

 水深は10m少々。

 根の中腹に身を隠し、群れの中の最大クラスが射程に入るのを待つことに…。

 最初は視界ギリギリのところを右往左往していたが、ゴリ寄せをするわけでもなく1分近く只管様子を伺っていると、じらされたイシダイは次第に射程圏内へと身を寄せる。

 横っ面に銛。55.5ポイント獲得。

 次なる獲物はさらにその15分後。岬の沖にある潮通しの良い沈み根にて。。。

 ボトムの水深は20m程度。海面からは何も見えないが、そこまで潜ればサーモクラインの層も完全に抜け、視界はかなり明瞭となる。

 ここでは実績の高いハタ科の魚でポイントを大きく稼ぎたかったが、これまた出会ったのはイシダイ&メジナの群れ。

 アベレージサイズは30〜40cm。

 もはやイシダイは60cmオーバーしか獲る意味が無いため、オールスルーを決め込んだが、その群れの奥に一際大きなクチグロの存在を確認する。

 「あいつは絶対60cmあるっしょ♪」

 と、今度は高橋名人張りのゴリ寄せで射程圏内へ呼び込み、真横から首根っこを一突き。

 ヤスは深々と貫通し、イシダイは全く動かず…。

 しかし、串刺し状態のままそのイシダイを手にしてみると、これが思ったほど大きくない。

 後の採寸の結果、サイズは微増して+1.5ポイント。取り巻きのサンバソウとのギャップと、パンパンに膨張した腹部に注意を惹かれ、目測を誤ってしまったようである。少し溜息をつきながら「やられたなぁ…」と、串刺しになったイシダイから手荒にヤスを引き抜いた途端、仮死状態のイシダイが突然フルパワーで走り始めた!

 …とは言え、チョッキはしっかりと掛かっており、バラす雰囲気はまるで無い。

 「今さら無駄な抵抗を…」

 そう思いながら余裕の面持ちでヤスを握ろうとすると、ちょうどヤスの後端が根の際に引っ掛かり、さらにはイシダイが海底に向かって決死の爆走をすることで微妙に迫り出した岩肌が「梃子の支点」となり、あろうことかヤスがボッキリと折れてしまった…。

 5年間愛用した初めての自作チョッキ銛。

シャフトがちょっとだけ朽ちてました。。。

 2年前にジョイント部が壊れた時にはジョイント交換で何とか再生できたが、今回はシャフトが完全に折れちまった…。

 一緒に潜り、数え切れない程の魚を獲り、色々な記録と思い出を共に残してきた相棒。

 最後に折られた相手が60cmにも満たないイシダイとなれば、さすがに成仏も出来ないだろう…。

 仕方ない。また直して使うか。

 というわけで1本目は相棒が力尽き、半ば強制的にエキジット。ちなみにヤスを折ったイシダイはシャフトごと無事に回収できたが、「ヤスが折れたショック」と「無事に回収できた喜び」が比較対象にもならなかったのは言うまでもない。


【1位】 み〜ちん ・・・ 57.5ポイント (イシダイ57.5cm)
【‐位】 サイモン ・・・ 00.0ポイント
【‐位】 ヌルハチ ・・・ 00.0ポイント 

この魚影ならグッジョブかな♪ セーフティリードとは言えませんが…。



■ 2本目 ポイントMJ


 近くのポイントで2本目をエントリーしようとしたが、漁業関係者を名乗るキチガイなクソおじさんと気持ち悪いおばさんに阻まれたため、無用なトラブルを避けるべく気分転換を兼ねてポイントを移動し、ヤスも予備銛に持ち替え、いざ2本目の海へ。

 こちらの海も瀬戸内のようなベタ凪状態で、透明度は7〜8m程度キープされていた。潮の流れが速いことを除けば、魚突きをする上では全く支障の無いコンディション。沖磯に渡っていた釣り師も、オレ達がエントリーするタイミングで納竿し、海を後にした。

 なかなかグッドな展開の中、2本目の突行を開始する。

 高まる期待とは裏腹に、今日はこのポイントも魚影が非常に薄かった。捕獲対象に満たない小魚は数多く見られるも、何故かヤスを構えるような魚には全く出会えず、開始から何事も無く30分が経過。

 若干メンタル面が終戦モードになりつつあったが、そこを何とか体力でカバーし、さらに沖へと泳ぎ出る。

 しばらくして、フラットな海底に幾つかの沈み根が連なる起伏に富んだエリアへと到着。高い根のトップ付近を泳ぐメジナの群れが海面からでも薄っすらと確認でき、局所的に群れたクラゲや名も無きベイトの群れが自然と潜行意欲を高める。

 息を整えてジャックナイフを開始。

 根の際を沿うように潜行し、ゆっくりと海底へと身を下ろす。

 海底付近もまずまずの魚影だった。

 30〜50cmクラスのイシダイが10数匹に、50cmクラスのヒラスズキ。横を向けば綺麗なマダイ(35cm)が射程近くをフラフラと泳いでいたため、長女誕生の祝いにテイクアウトしようと思ったが、さすがにヤスを撃つまでには到らず。一通り辺りを見渡したところで一回り大きなヒラスズキが寄って来たため、ポイント加算は無いものの『初物』ということで迷わず一突き。チョッキは鰓のすぐ後ろに入ったが、意外と暴れる元気ハツラツなヒラスズキ。海面にて取り込みに梃子摺っていると、何処からとも無く1匹のヒラマサが泳ぎ寄って来て、手の届きそうな距離をフラフラと遊泳し始めた。

 ヒラマサのサイズは60cmちょっと。

 普段なら決してムキになる相手ではないが、今日のこのコンペ。青物での60ポイント加算はかなり大きい。まさに、喉から手が出るほど欲しい魚である。

 可及的に素早くヒラスズキを掴まえ、少々手荒にストリンガーへと通す。少しずつ距離を取り始めるヒラマサに対し、すぐにヤスゴムを引きヒラマサにロックオ・・・オ・・・ンしたかったが、チョッキが押し棒にセットされてないことに気付き、万事休す。慌ててチョッキをセットし掛けたが、テンパリ過ぎてチョッキの先端で指を突き刺してしまい、裂傷→出血によるオーバーアクションでヒラマサはいつの間にか視界の外へ。

 やられた…。

 痛みを堪え、気を取り直し、辺りの沈み根付近の捜索を再開させることに。

 この時点で青物との遭遇はほぼ諦め、ターゲットはクエorキジハタorマハタの三種。ちなみに穴覗きは好きなスタイルではないため、根周りで微動しているシルエットのみに気を配る。

 ヒラスズキ捕獲から約10分後。すぐ近くの沈み根の際にて30cm弱のマハタが目の前に現れたときには本気で突こうかと迷ったが、隣の根の壁面で気持ち良さそうにホバリングしているキジハタを見付けると、邪念は何処かへ吹き飛んだ。

 岩の壁面でホバり続けるキジハタ。

 態勢が悪かったため、一旦浮上し、真上からアプローチ。

 警戒されること無く簡単に射程圏内へ入ると、ビリヤードのマッセのような打ち方で、真上から眉間を一突き。

 み〜ちん、+43ポイント獲得 ww

 それからわずか数分後、同じエリアの沈み根にて、大きな縦割れの亀裂でホバる同サイズのキジハタを確認。

 今度は海草のブラインド越しに真正面からヤスを構え、タイミングを合わせてヤスを打ち込む。

 ほぼキルショット状態で取り込んだキジハタ、43.5cmで+0.5ポイント増。

2本目もまずまずの結果

 時間的にはまだまだ余裕があったが、あまりの魚影の薄さにモチベーションを維持出来ず、ここでエキジットを選択。陸へとフィンを漕ぎながら、他の二人の獲得ポイントを想像してみたりした。

 オレは合計100ポイントくらいだから…。

 ヌルは最低でもイシダイ50オーバーは獲るだろうし、そこから中途半端な青物とか獲られたら・・・。

 サイモンさんもイシダイくらい普通に獲って来るだろうし、キジハタだって得意分野だろうから・・・。



 そして、上陸…。



 みんなは何処だ?


 すぐ隣にサイモンさん発見。


 あらー、まさかのボウズっすか??


 あとはヌルハチ氏だが。。。


 おっ、居た居た♪


 ん?あいつ何か持ってんじゃん?





 あれ?











 ク、クエ…。











 しかも…でかくね?











 パッと見、80オーバー。





 ま、負けた…。





み〜ちん「お、お前、クエだけか?」

ぬるはち「はい♪」

み〜ちん「イシダイは獲らなかったのか?」

ぬるはち「あまり大きいのが居なかったので♪」

み〜ちん「・・・。」





み〜ちん 101ポイント。

ぬるはち 83ポイント。





結果的に、勝利を手にしたのはオレ。





でも、ぜんっっっぜん勝った気がしねぇぇぇ!!!!!









むしろオレは虚しいよ、ぬるはちくん。






場所 日本海某所
−突果写真−
天候 曇り時々雨
海況 風弱く 波1.0m
大潮 満潮 11:00
透明度 5m
潜水時間 9:30〜13:30
最大水深 18.5m (‐‐.‐℃)
ヤス 3.5mチョッキ銛
フィン ワープフィン
突果 ヒラスズキ 65.0cm (初突果)
イシダイ 55cmオーバー×2匹
キジハタ 40cmオーバー×2匹




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