突行記 ’07

『第15回 日本海遠征』
〜 初魚種、ヘダイ捕獲 〜
突行日 2007年 9月 16日

 今日はアイシさん、シュウさん、ヌルハチ君との合同突行。このメンバーでの突行にはしけんさんが居ないのが少々不思議な感じもするが、これが妻子を持つ男の宿命なのだろうか。いつしかオレも、突行より家庭を優先させなければならない日が・・・、いや〜、今は深く考えないようにしよう(汗)。


■ 1本目 ポイント・MM

 1本目はポイントの広さの問題により、アイシさんとシュウさんは車で10分ほど離れた別ポイントにて潜ることに。…というわけで、ここではオレとヌルハチ君が1本目の突行を行うこととなった。

 7時30分 準備も早々にエントリーを開始する。

 海はベタ凪。ほぼ無風。

 しかし、透明度は期待していたよりもはるかに悪く、魚影の濃い沖磯周囲で5m程度しか見えなかった。全体的な魚影としてはまずまずだったが、キジハタがやたら多かったのが印象的。

 まずは東の沈み根の深い割れ目で、キジハタを1度に4匹目撃する。サイズは40cm級が3匹と45cm級が1匹。もちろんここで狙うは45cm級オンリーだったが、これがどうしてなかなか難しい。小さい固体が前に出てきて邪魔をしたり、いつの間にか立ち位置が入れ替わっていたり。何れの個体からも警戒心はほとんど感じられなかったが、4匹を一度に相手にしているような感覚に陥り、なかなか目的のキジハタだけを射程に捉えることは出来ない。

 そんな感じでキジハタファミリーと遊んでいると、1匹の見慣れない魚が根のボトム付近を低速で泳いでいるのが確認できた。

 …ん?…マダイ??

 いや…ヘダイだ!!

 食べた事はもちろん、突いた事も見た事も無い魚だったが、以前より“美味い魚”だと聞いていたため、すぐにヤスを構えて捕獲モードでヘダイの待つ水深へ…。どんな寄り方をしたら良いのか全く検討がつかなかったが、沈み岩が良い感じに死角を作ってくれたため、射程圏内へは何の問題もなくスムーズに入ることがきた。そしてそのままの流れで真上からロックオンし、徐々に近付きながら脳天目掛けて思いっきりヤスを打ち込んだ!

 ゴッ…!

初魚種・ヘダイ49cm

 ヤスは頭頂部にクリーンヒットしたものの、頭蓋骨は想像以上に硬く、チョッキはカエシまで刺さり切らなかった!撃たれたヘダイは急発進し、狭い岩肌の中で暴れまくっている。あまり強いテンションを掛けるとチョッキがすっぽ抜ける心配があったため、中途半端な力でセーブしながら泳がせていると、調子に乗ったヘダイは銛を軸に方向転換し、オレの顔面目掛けて猛突進してきた…!オレは身構える余裕も無く、ヘダイの強烈な頭突きを右顔面に受け、唇の右上を軽く裂傷…。かなり痛かったが、受傷と同時に魚をガッチリと抱きかかえることに成功したため、そのまま鰓を引き千切り、ストリンガーへと通した。初ヘダイ、49cm。

 このやり取りがあった後もキジハタ一家は同じ根で戯れていたが、何だか無駄に時間ばかりが過ぎているような気がしてきたため、ここではオールスルーを選択。潔く次の根へと向かい、さらなる大物との出会いに期待することに…。

 数分後、西の沈み根に到着。

 残念ながら大型のイシダイや青物のシルエットは皆無だった。魚影を構成するのは小アジの群れ、メバル、スズメダイ、タカッパ、メジナ、ベラの仲間など。出会う大物といえば70cmクラスのコブダイくらい。開始早々に35cmと45cmのキジハタを各1匹目撃したが、いずれもヤスを撃つまでには至らず。

 しばらく青物と根魚を両天秤に掛け、同じ根回りにて空潜りを繰り返しているうちに、8月19日の突行でバラしてしまった手負いのキジハタ(55cmUP)と再会することができた。ほぼ同サイズ、同じ根、見覚えのある場所の傷口で同一個体であると判断。この日は計4回に渉ってこのキジハタを目撃することができたが、警戒心はなかなか強く、射程圏内までの距離が非常に遠く感じられた。最大のチャンスは2回目の遭遇時、ワカメ林に隠れているところを遠目で確認し、万全の態勢で挑むために一旦浮上して呼吸を整えてから再潜行したが、あまりの透明度の悪さに海面から目標物がほとんど見えず、潮の流れにより自分の位置をキープできなかったため、アプローチするための着地地点に失敗…。ヤスを構えて周囲を見渡すと、キジハタはヤス先よりもずっと手前でホバリング(汗)。。。そこで思わず「はっ!」としてしまった瞬間に、キジハタは軽めのワンダッシュで視界の外へと姿を晦ませる…。根を捨てて一目散に遠くへ逃げる事は無かったため、縄張り意識も強いのだろうが、逃げられるたびに確実に警戒心も増していく印象を受けた。キジハタに対して自分の持てる全ての力を出し尽くした感はあったが、それでも捕獲には到らず。サイズ的には記録級には届かないが、アイツはいつかオレの手で仕留めてやりたい個体だね。

 結局2時間という時間をフルに使ったが、ここでの突果はヘダイのみ。ヌルハチ君はボウズとのこと。エキジット後、待ち合わせの駐車場でアイシさん&シュウさんと合流し、とりあえず近況報告会を開いた。アイシさんは日頃の悪行が祟ってかサイナススクィーズを発症してしまい、突行開始直後を除けば数mしか潜れなかったらしい。それでも突果は60cm弱のヒラマサと50cm強のイシダイを獲っていた。この人はホント不思議な人だと改めて思ったね。シュウさんは濁りやポイントに関係無く、得意のスズキをしっかりとゲットしていた。

この人だけは…解らねぇ〜!! スズキ70cm級を獲るも、不満毛なシュウさん


■ 2本目 ポイント・RB

 このポイントの逆サイドは過去に開拓済みだったが、その時は(季節も海況も悪く)散々な結果に終わっていたため、正直なところ全く良い印象は持っていなかった。とりあえずあまり期待をすることなく海へと向かい、11時00分、本日2本目の突行を開始する。

 エントリー直後は湾内&遠浅で捕獲対象魚が現れる気配が無かったため、まずは潮当たりの良さそうな岬まで遠泳することに…。

 遠泳開始から15分経過。

 かなり沖へと泳ぎ出たところで、身体に少しずつ流れを感じるようになった。この辺りまで来ると、起伏のある大きな沈み根にはかなりの魚影が集まっており、寄って来るイシダイも比較的良型が目立ち始める。小アジも大群で押し寄せ、何かを期待するには十分な雰囲気だった。とりあえず最初に行き着いた沈み根の中腹でイシダイ57.5cmをゴリ寄せて獲った後、同じ根のボトムでキジハタ47.0cmをサクッと捕獲。すぐ近くに同サイズのキジハタも居たが、ビックリして岩下に逃げ込んだまま姿を見せる気配は無い。仕方なく根を移動しようと根の反対側に回り込むと、そこには別のキジハタが佇んでいる…。大きな沈み根の数はそれほど多くは無いが、どの根で潜ってもほぼ2匹ずつのキジハタが根に居着いている感じ。クエに関しても、サイズは中途半端ながらも同じ根で一度に2匹見ることもあった。とにかく、あっちにもキジハタこっちにもキジハタ。酷いところでは畳一畳分のスペースにキジハタが4匹居たことも…。「こいつは小せ〜なぁ…」とスルーすれば、他の個体が顔を出す。それを見送ってもまた別の根には別のキジハタが…。一度スルーしたはずのキジハタが、射程圏内まで再び寄って来ることも。。。とにかく、普通に考えてアリエナイ魚影。これにはちょっと苦笑が出るほどだった。

「カサゴよりキジハタの方が多いんじゃね?」

 そんな事を思いながら、大型限定で周囲の探索を続けた。とにかく40cm以下はスルーしまくりながら、次なるチャンスを伺った。

 魚影も濃かったため、時間はあっという間に過ぎていく・・・。

 ちょうど1時間が経過しようとしたころで、ボトム18m〜トップ5mほどの大きな沈み根に行き着いた。根のトップ付近にはイシダイ(40〜50cm)が30〜40匹ほど群れており、それがメジナの大群に入り混じって巨大な魚群を構成していた。根の中腹にあるフラットな部分でしばらくその魚影を眺めていたが、そこからふと海底方向を見下ろすと、根の壁面に張り付いた良型のキジハタを確認する。サイズは50cm前後。すでにキジハタはこちらをガン見していたが、オレがヤスを構えると同時に近くの岩の亀裂へと身を隠してしまった。
 一旦浮上し、少し時間をおいて、真上からではなく根の側面からアプローチ。
 キジハタはオレが上から来ると思っていたのか、先程と同じ場所で上を向いていた。

「キジハタさん、残念!」

 撃つ前から勝負あり。キジハタ50.5cm、頭部へのキルショットで確実にゲット。

 もっともっと時間をかけて探索したかったが、時間切れにて強制エキジット。ちなみにここではヌルハチ君が50cm弱のキジハタを捕獲し、70cmオーバーのヒラマサを50cm級のブリを多数見たらしい。突行前はダメダメポイントの印象が強かったが、実際にはオレが体験した海の中でもハタ科の魚影はMAXに近い。とりあえず、また日を改めてじっくりと攻略してみたいポイントだね。

凄まじい魚影だった… ヌルハチ君もキジハタに慣れてきたね


■ 3本目 ポイント・スタンドバイミー

 この日、オレの中では最も期待値が高かった(行きたかった)ポイント。しかし、結果的には一番ショボかった。前回の突行では1時間しか入れなかったため、今回始めて本格的な開拓気分で臨んだのだが…。

薄い魚影の中で、価値ある1匹

 海底の地形に効果的な変化があったのは岸から50m以内で、あとは瀬戸内海のようになだらかな殺伐とした海底環境。さらに今回は透明度が悪い上に魚影もかなり薄く、浅場では全く良い魚に出会えなかった。イシダイも30cm強を数匹見れた程度。ポイントを少し沖の深場へと移し、水深15mラインまで探り始めてようやくキジハタを1匹目撃。潮に流されながらも3度目のアタックにてその姿を射程圏内で捉え、しばらく睨み合った末に横を向くタイミングに合わせてヤスを撃ち込んだまでは良かったが…、キルショットを外してしまったために、直ぐ背後にあった穴の中へと突っ込みを見せられる(焦)。撃つまでに時間を掛けてしまったため、息止めはほぼ限界。ここでヤスを放棄して一旦浮上も考えたが、穴の奥まで入り込まれると引き出すのにも苦労しそうだったため、なんとかヤスをしならせて岩穴の入り口付近で踏ん張り、半ば強引な引き出しに成功。魚を掴んだ後は急いで浮上したかったのだが、ロングフィンのブレードが根元から折れ曲がっているため、かなり真剣にフィンキックしてもゆっくりとしか上がれない!さすがにちょっと焦ったね〜。このフィンを使うのはもう辞めようと思った瞬間だった。

 結局ここでのリミットは2時間の予定だったが、つまんないので1時間少々で自主的にエキジット。オレが上がった時には、みんなもすでに上がってたけどね(笑)。ちなみにここでは誰も良い魚を見ていないらしい。アイシさんがサイナススクィーズでまともに潜れないはずなのに、何故かクエを獲っていたのには正直驚いたね。サイズは…微妙だったけど。

※食味レポート
 ヘダイはその日のうちに嫁の実家に持ち帰り、マダイと同じように刺身、鱗と皮の唐揚、アラ汁で食してみました。結果からいえば・・・不味かった。個体差があるのかもしれないが、刺身は若干臭みもあり、部位によっては箸が進まなくなるようなところも…。鱗と皮の素揚げに関しては問題なく食べれたが、アラ汁に関しては何故かほとんどダシが出ず、大きく期待を裏切る結果に。ちなみに家族からは「もうこの魚は獲って来ないでね」と言われてしまいました。


場所 日本海某所
−突果写真・2本目−
天候 晴れ
海況 弱風 波1.5m
中潮 満潮 16:00
透明度 6〜7m
潜水時間 7:30〜15:45
最大水深 15.9m(28.1℃)
ヤス 3.2mチョッキ銛
フィン エスカペ
突果 キジハタ 52.5cm 50.5cm 47.0cm
イシダイ 57.5cm
ヘダイ 49.0cm
 (初突果)




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