釣行記


『日本海の根魚』

突行日 2006.6.7


 今日は久しぶりに水君との合同突行。早朝5時過ぎに出発し、島根西部のサケガシラポイントへと向かった。
 メインターゲットはキジハタ&クエ。前々回は同一ポイントでクエ(60cm弱)にまんまと逃げられ、前回は至近距離ロックオンにも関わらずキジハタ(40cm強)をバラしてしまった。ここのところ日本海まで遠征しながらパッとしない突行内容(突果)が続いていたので、ここらで一発景気の良い魚を獲りたいところである。

 ■ 1本目(サケガシラポイント)

 8時00分。漁師の船を避けるようにしてエントリーを開始する。
 空は快晴。ほぼ無風。瀬戸内に勝るとも劣らない海面状況。海水は若干白濁しているものの、なんとか10m前後は見ることが出来た・・・が、魚影の方はイマイチ。海面から10m付近を見渡しても、メバルやメジナの影がチラホラと見える程度。このポイントは今季3度目の突行になるが、今日が最も魚影が薄い日だった。

 とりあえず最も手前に位置する通称“イシダイの根”に向かってみたが、やはり魚影は薄い。根の中腹にてゴリ寄せしてみても、視界に入ってくるのは30cm前後のサンバソウが数匹程度。そのまま空潜りを繰り返しながらポイントをずらしていくと、何度目かの潜行で80〜90cmクラスの赤白いシルエットが遠い視界に現れた。一瞬、マダイか?と思ったが、正体はコブダイの老成魚。アルビノチックな巨体に、戦艦大和のように張り出した立派なオデコ・・・。マダイではなかったものの、「こいつは絵になるぞ!」と、瞬時にそう思い、水中カメラを取り出し距離を詰めて行った。そして適当な沈み根のトップに着底し、カメラを構えて視線を前に向けると・・・何やら前方より熱い視線が・・・ん?・・・おっ!ク、クエじゃん♪

 かなりラッキーな展開だった。咄嗟にカメラをクエに向けたが、冷静に考えてみると写真なんて撮っている場合ではない。カメラを沈め、ヤスを握り、6〜7m離れた隣の小さな根の上でホバリングしているクエとの駆け引きを始める。さて、どうするべきか。警戒されている雰囲気ではないが、寄ってくる素振りは全く無い。VSクエとしては今までの捕獲経験に無いシチュエーション。ガッチリ向き合ってしまったクエが獲れるのか?キジハタとは一味違う警戒心。このまま一旦浮上すればクエはその動きに驚いて逃げてしまうかも・・・が、回り込んで距離を詰める余裕も無い・・・。
 そんなこんなで手を出せないまま時間だけが経過していった。相変わらずクエはこちらを凝視しながらホバリング。しかしクエが動かない限り、こちらとしても動きようが無い。さらに言えばこの潜行中にアプローチする気が無かったため、出来ることならこちらから動きたくは無かった。しかし息止めも限界に近づいて来たため、已む無く“一旦浮上”という言葉が脳裏を過ぎる・・・そんなタイミングで、ついにクエが先に動いた!
 根の上でホバリングを続けていたクエは、スルスルと根を下り、根の際の浅くオーバーハングになっている岩陰に・・・。それを遠目で見届け、ようやく浮上を開始する。悪くない流れだ。

 海面にて息を整えると、今度はクエの隠れた根の真上に着底した。ゴムをMAX引きで構え、大胆にもオーバーハングを上から静かに覗き込む。そこで再びクエとの御対面。直ぐにヤスを頭に向けることは出来たが、あまりにも窮屈な体勢のため確実性に乏しく、撃つ事を一瞬躊躇った。それを警戒してか、クエはゆっくりと前進を始め、根の反対側へと回り込む。一度は見失ってしまったが、三度目の再開は決定的な場面だった。

クエ 63cm 記録更新!

 根の反対側は海草が生い茂り、なだらかな傾斜が砂地へと接している。その砂地との境目にクエが横向きでホバリング・・・。しかもワカメが絶妙なブラインドとなり、こちら側が死角となったクエは警戒心ゼロ。かなりの至近距離でロックオンした後、海草が揺れてクエの側頭部が露になるタイミングに併せ、右鰓付近にフルパワーで打ち込んだ!そしてそのままの流れで砂地の海底に押さえ付け、シャフトが貫通した状態で両鰓をガッチリとキープ!ほぼキルショットに近い感じだったため、獲り込みは難無く終える事が出来た。そして水面へ・・・。この浮上中の数秒間が、何とも言えない至福の時間となる。

 それから1時間程はカメラを持ってフラフラと。時間と共に透明度も悪くなり、良い被写体にも出会えない。前々回クエを目撃した岩穴に立ち寄ってみたが、今日は残念ながらコブダイが入っていた。そしてその根周りで潜っている際中、ふと耳を澄ませば遠くの方から船のスクリュー音が・・・。「ブーン・・・。」その音は次第に大きくなり、やがてクリアーな音へと変わった。そして海面を見上げると白い泡が頭上を通り過ぎ・・・停止・・・。「ん〜っ・・・ヤバイかも・・・(汗)。」ゆっくり浮上し水面から顔を出すと、ウェットを来た漁師がボートからこちらを見ている。罵声や強制連行も覚悟したが、『潜るなら目印を付けて潜れ、轢かれても知らんぞ!』『この時期はまだ水温が低いから魚は居ないよ』『ウェットを着て潜ることに反対する漁師もいるから気をつけろよ』とだけ言われ、漁師はその場を去って行った。極悪イメージの強い島根にも良心的な漁師が居るんだなぁ・・・と、ちょっとだけ感動しながら、オレもその場から離れることにした。

 
■ 2本目(サケガシラポイント)

 水分を補給しての2本目。相変わらずテンションは低い。クエやキジハタに会いたいような・・・でも勿体無いから次回に取っておきたいような・・・。

キジハタ 45.5cm グッジョブです!

 そんな事を考えながら水深10m前後の海底付近をフラフラと散歩していると、1匹の茶色のシルエットが海底付近を這うように泳ぎ、大きな岩肌の割れ目へと入って行くのが確認できた。その泳ぎ方からハタ科の魚だと確信し、ヤスを構えて割れ目を覗く。割れ目の幅は数cm〜40cm程度で、深さは1.5mほど。それが微妙に凸凹しながら7〜8m程続いていた。中には予想通りにクエが1匹、割れ目の中でホバリング。サイズは50cm強。直ぐにロックオンは出来たが、割れ目の入り口のかなり狭い部分に入り込んでいたため、突いても容易に取り込めそうな雰囲気ではない。ここは無理をせず、クエが撃ち易い所まで出てくることを期待したが、徐々に割れ目の奥へと入って行き・・・そのまま完全に見失ってしまった。とりあえず一旦浮上し、再潜行。同じ割れ目を未練がましく覗いてみると、今度は割れ目の逆サイドで良型のキジハタを確認。「この運を次回に少しでも残しておきたい・・・。」と思いながらも目先の誘惑に勝てず、ヤスを構え、左鰓→頚部を落ち着いて一突き!手早く穴から引き摺り出し、手に取ったキジハタは今季初の40cm&1キロオーバー。

 さすがにこれ以上魚を獲る気にはなれなかったため、いつもより早めのエキジット。時間をかければイシダイもキジハタも、もしかしたらクエだって狙えたかもしれないが、それはまた次回以降のお楽しみということで。



場所 島根県 サケガシラポイント
今日の突果
天候 曇りのち晴れ
海況 弱風 波0.5〜1m
長潮 満潮 11:00
透明度 7〜10m
潜水時間 8:15〜12:30
最大水深 13.4m(18.5℃)
ヤス 3.2mチョッキ銛
フィン エスカペ
突果 クエ 63cm (自己記録)
キジハタ 45.5cm
本日の食卓
薄造り 塩タタキ 皮ホルモン 茶漬け
 やっぱクエは美味いね!季節的に脂の乗りはイマイチだったかもしれないが、そうは言ってもクエ。あっさりとした中に凝縮された旨味は流石!ホルモンの塩焼きは肉厚でボリュームもあり、最高だった。漬けの茶漬けと塩タタキは初挑戦だったが、これも合格。アラは鍋に、カマは塩焼きに…。久々のクエフェアにとても満足な夜を過ごす事が出来ました♪





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