釣行記


『記録ラッシュ!』

突行日 2004.10.31


これで今シーズン最後になるかもしれない日本海遠征。そんな大一番の2日前に、不覚にも風邪を引いてしまった。なんとか当日までに熱は下がったが、鼻の通りが宜しくない。家を出る前に湯を沸かし、強制的に蒸気で鼻腔を開通させたが、効果としてはその場凌ぎ程度。はたしてこれで一日潜れるかどうか。

朝5時、広島市内の某所にてはしけんさん、アイシさんと合流。荷物をはしけん号に移して一路島根へと向かう。アイシさんとは初顔合わせ。普段は水中銃も使うそうだが、今日は手銛での突行。日曜日ということもあってか、釣り人がやたらと多く、かなり窮屈な魚突き。透明度は5〜6mと日本海にしては厳しいが、瀬戸内育ちのオレ達にはこれだけ見えれば十分でしょう。

■ 1本目 (明太子スパゲッティ−ポイント)

久しぶりに見るベタ凪の日本海にオレ達3人はかなりやる気モードに。そんな中、1本目に選んだのはオレが知っている島根県西部で一番の好ポイント。夏場に水深15mのところでマハタやキジハタ、40cmオーバーのイシダイ&イシガキダイが群れてたポイントだ。

さっそく着替えてエントリー。3人ほぼ横並びに海に入ったが、泳ぎ出しから30秒も経たないうちに水深3m程度の浅場でホンダワラの陰に隠れたスズキを発見!かなりデカイ。自己記録の73cmは超えてそうだ!いきなり撃ってやろうと思ったが、まだ海に入ったばかりでゴムを引いてなければシャフトもヤス先の方を握っている。スズキに気付かれないようにゆっくりとヤスを構えゴムを引く。

・・・よし、まだ気付かれていないぞ!

そう思ったのも束の間、意外なところに刺客が。少し後ろからアイシさんがこちらに泳いで来るのが見えたので、スズキを指差して「そこにスズキが居るのでちょっと待ってくださ〜い!」とお願いをしたつもりだったが、アイシさんはそんなオレの静止に全く気付かずスズキの真上をフラフラと泳いで通過!

・・・うっ・・・(涙)。

身体中に広がる絶望感。絶対逃げられると覚悟したが、奇跡的にもスズキはホバリングを続けている。ほっと胸を撫で下ろし、直ぐに潜行を開始。ほとんど潜る必要の無い深度。射程圏内には簡単に入れた。しかしあまり近付き過ぎると逃げられ、遠過ぎると振り切られてしまう・・・。どのくらいの間合いで撃ったのかは良く覚えていないが、とにかく真上から後頭部に狙いを定め、フルパワーで一撃!

KILL SHOT!

久々に決まったキルショット!撃たれたスズキはピクリとも動かない。どれだけ暴れるか少し楽しみにしていた部分もあったが、ここまで綺麗に決まるとやはり気持ちが良い。朝一番の大仕事を終え、気分上々の中、本日の突行が幕を開けた。

(メインポイント)
スズキをスカリに通して目的の沈み根を目指す。メインポイント到着までに何度か耳や鼻を慣らそうと空潜りをしてみた。耳の抜けは良かったが、副鼻腔の抜けがすこぶる悪い。頭の中に妙な圧迫感と頭痛。このまま続ければサイナスでリタイアすることは間違いない。

そうこうしているうちにメインポイントに到着。サイナスの前兆に怯えながら10〜15m辺りを騙し騙し潜り続けるが、海底付近はやや薄暗く、岩下を覗いても中が良く見えない。魚影の方も夏に比べ全体的に薄く、良型のイシダイやイシガキダイ達は姿を消し、メジナ&サンバソウが楽園を作っていた。以前マハタを見た岩下は現在、空き家状態。結局最後まで良い魚に出会うことはできず、岩陰をチョロチョロと動き回っていたアイナメ(一応自己記録)を1匹捕獲して1本目は終了となった。


■ 2本目(サケガシラポイント)

ウェットスーツを着たまま車で30分ほど移動し、サケガシラポイントへ。この一帯は最大水深が12〜3mと浅く、しかも7〜8mでクエを目撃した実績がある。サイナススクイーズに苦しむオレにはこのポイント移動は吉と出るはず!しかし問題なのは透明度。ここは目の細かい砂地に囲まれているせいか、ウネリが出ると透明度が極端に悪くなる。前回は海底付近で透明度50cm未満と、話にならなかった。
 
とりあえず潜ってみて一安心。心配された今日の透明度は4〜5m。まずまずだ。しかしこのポイントにもサンデーアングラーが多く、結局フィールドの3分の1程しか潜れないという厳しい状況。

仕方なく波の少々高い湾外での魚突き。15分ほどでポイントを一通り見て回ったが、これといった魚を見ることができない。とりあえず10m前後をしつこく潜り、イシダイを待ってみた・・・。しかし40cmを超えるイシダイは1匹も現れない。そのまま30分近くが経過。水深8mのところで、やや遠目に茶色のわりと大きな魚影を確認することができた。根魚のようだが、カサゴにしてはデカ過ぎる。ヤスを構えてゆっくりと寄ってみた。するとその魚はこちらを振り返り、大きな胸鰭を広げてホバリング・・・。キジハタだ!しかもかなりデカい!さらにヤツはすでに射程ギリギリの距離にいる。真正面から睨めっこすること数秒、穴に入ろうと身を翻した瞬間を逃さず、軽くワンダッシュをして狙い撃ち!ヤス先は胸鰭辺りから反対側の鰓蓋に刺さった。サイズのわりにかなりのパワーを感じさせられたが、すかさず岩壁に押さえつけ左手で頭をガッチリキープ!そのまま浮上し、水面でエラに手を入れ取り込み完了!

「おぉぉぉぉ――!!!」

久々の水中雄叫び(笑)。キジハタは1本目で1匹も見れなかったので、全く期待していなかっただけに相当嬉しい。しかも確実40cmオーバーの良型♪この魚体、マジでカッコ良い!!

これで本日3匹目の自己記録を更新!出来過ぎくらいだ。その数分後、海底付近でお休み中のスズキ・60cm弱を目撃。オカズ的にも十分揃っていたためスルーしようかと迷ったが、頭の中の捕獲制御装置が作動せず、また真上から忍び寄り脳天目掛けて一突き!少しの迷いが狙いを狂わせたのか、今度はキルショットならず。しかし良い所に刺さっていたため、焦ることなく無事に取り込み完了。ちょうどこの頃、騙し騙しで潜り続けていたサイナスの痛みが限界に・・・。頭を下にしただけで激しい頭痛。ついに年貢の納め時だ。

釣り人が多く、潜るポイントがあまりに狭すぎたため、いろんな意味でこの辺りが潮時だったのかもしれない。なんとなく余力を残したような気持ちで終了。しかし腰にぶら下がった魚を見ると・・・、むふふ。思わず笑顔になっちまう。


■ 今日の総括

久しぶりにまともに潜った日本海だったが、魚影は明らかに薄くなっている。やはりイシダイなどは深みへと入ってしまったのだろうか?1ポイント目は若いホンダワラが生い茂り、海面から根魚の捜索は不可能な状態に。アイシさんはコロダイの群れを見たと言っていた。ヤツらはまだこの辺りをうろついているのだろうか。目撃したキジハタは2本目で捕獲できた1匹のみ。夏にオレが見たほぼ同じ位置でアイシさんがクエに遭遇。射程ギリギリの攻防だったらしいが、結局ヤスを撃たずに見失ったらしい。はしけんさんは50cmクラスのイシダイをここで目撃。クエと単発的に現れるイシダイを狙って海況の良い時にリベンジしてみるのも面白いかもしれないが、今シーズンはもう厳しいかな。

何はともあれ今日は記録ラッシュの一日。魚影がめっきり薄くなってきた今日この頃、ヤスを撃つチャンスも4回しかなかった。サイナスにも苦しめられた。それでいてこの突果。これは素直に嬉しいね。




場所 島根県某所
『本日の突果』
天候 晴れ時々曇り
海況 風弱く 波高1〜1.5m
中潮 干潮 8:40
透明度 4〜5m
潜水時間 8:20〜12:20
表面水温 ―― ℃
最大水深 14.2m(20.8℃)
ヤス 2又手銛 2.7m 
フィン エスカペ
突果 スズキ  81cm (自己記録) 58cm
キジハタ  48cm  
(自己記録)
アイナメ  41.5cm  
(自己記録)
本日の食卓
スズキの握り キジハタの刺身 キジハタ鍋 アイナメの煮付け
魚突きを始めてこれほど充実した食材に囲まれたのは初めてかもしれない。淡白なスズキの白身は寿司飯にぴったり。キジハタの刺身は薄造りの方がオレは好きかな。でも鍋は最高…いや、最強だ。なんなんだろ、あの美味さは。一口で虜になってしまった。アイナメの煮付けも合格点!言う事無し。





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